一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(本部:東京都港区三田3-4-10 リーラヒジリザカ7階、代表理事・専務理事:田中 博敏、以下、JBMIA)と国立研究開発法人情報通信研究機構(本部:東京都小金井市、理事長:徳田 英幸、以下、NICT)は、ニューラル自動翻訳の性能向上を共同で実証することを目的にこのたび契約を締結しました。
近年、ニューラル自動翻訳を用いた特許明細書の翻訳が実用化されておりますが、高精度な翻訳を保証するためには翻訳者による編集が不可欠であるため、ニューラル自動翻訳の高精度化が望まれています。
最先端アルゴリズム「Transformer」を採用したNICT開発のニューラル自動翻訳エンジンに、ビジネス機械・情報システム分野の高精度対訳データを用いて最適化させることで高精度化することを確認するために、JBMIAの知的財産委員会が最適化に必要な日英対訳データを会員企業から集約しNICTに提供します。このデータに基づいて、NICTが開発するビジネス機械・情報システム分野に最適化されたニューラル自動翻訳エンジンの翻訳精度の評価を行い、次に、JBMIAの知的財産委員会の会員企業が実用性の観点で評価を行い、フィージビリティ・スタディを進めます。
NICTは総務省と共に「翻訳バンク」(注1)の運用を行っており、翻訳データを集積して日本の翻訳技術の多分野化・高精度化に取り組んでいます。今回の契約は産業団体としてNICTと共同する初めての取り組みとなります。(2019年11月11日現在、JBMIA調べ)
NICTフェロー隅田英一郎は、次のように述べています。「個社でなく団体で翻訳バンクに貢献いただける方式は最も効率的であり、この方式に則って日本企業が協調領域で連携することで日本経済のRenaissanceをもたらすと信じます。」
JBMIA専務理事の田中博敏は、次のように述べています。「最先端の素晴らしい技術を持つNICTと共に、ニューラル自動翻訳の高精度化に関するフィージビリティ・スタディを実施できることを非常に嬉しく思います。特許明細書の翻訳に資する高精度なニューラル自動翻訳の実現は、外国への特許出願を容易とし、一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会の会員企業のみならず、全ての日本企業にとって外国特許出願の促進と、それによる国際競争力の維持や向上というベネフィットをもたらすことでしょう。当協会は、今回のフィージビリティ・スタディによってニューラル自動翻訳を高精度化するための課題を明らかにするとともに、会員企業と外部関係機関とのコラボレーションによってその課題をクリアし、高精度なニューラル自動翻訳を実現させていく所存です。」
JBMIA知的財産委員会の委員長である真竹秀樹(キヤノン株式会社)は、次のように述べています。「今回、日本企業共通の課題である特許明細書の翻訳コストおよび翻訳時間を大幅に削減する革新的な取り組みとして、世界トップレベルの性能を持つニューラル自動翻訳を特許明細書に最適化する研究をNICTと共に行えることとなり非常に嬉しく思います。JBMIAのみならず全ての企業・個人の知財活動を支えるインフラの充実という目標に向かって、この取り組みを進めて参ります。」
今回のJBMIAとNICTの共同作業は、大量で上質な日英対訳データの準備や翻訳品質の評価など、単独の個社だけでは対応が難しい作業を、JBMIAに所属する会員企業が協力し対応することで、個社の負担を軽減しながら迅速な対応を可能とするものです。産業界の新たな革新的コラボレーションモデルとして、これまでになかった価値の創出に貢献するものと考えます。

(注1)翻訳バンクについて

ニューラル技術による自動翻訳の精度向上には、アルゴリズムの改良に加えて、翻訳データの質と量の影響も大きく、高品質な翻訳データの大量の確保が重要となります。NICTは、総務省と共に翻訳データを集積する「翻訳バンク」を運用し、日本語の翻訳技術の多分野化・高精度化に取り組んでいます。
※ 翻訳バンクはNICTの登録商標です。
翻訳バンクについて https://h-bank.nict.go.jp/
NICT報道発表「『翻訳バンク』の運用開始」 https://www.nict.go.jp/press/2017/09/08-1.html

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)について

NICT は情報通信分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関として、豊かで安心安全な社 会の実現や我が国の経済成長の原動力である情報通信技術(ICT)の研究開発について基礎から応用までを推進するとともに、産学官連携や事業振興などに総合的に取り組んでいます。
NICTホームページ https://www.nict.go.jp/

一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)について

JBMIAは、ビジネス機械とそれに付随する情報システム産業の発展に貢献する団体です。製造事業者のみならず販売やサービス関連の事業者とも連携を深め、より幅広い視点から、環境保全、製品安全、標準化、国際協力、調査統計等に関する事業を多角的に展開しています。
JBMIAホームページ https://www.jbmia.or.jp/index.php

JBMIA知的財産委員会について

日本経済の活性化のためには新たなイノベーションの創出と同時に知的財産の創造が求められます。知的財産委員会ではJBMIAの会員各社の知的財産戦略が有意義でかつ正しい方向性を持って構築できるよう情報の収集と発信を行うことを使命とし日々活動を行っています。更に、知的財産分野のグローバルな動きをタイムリーに捉えると共に政策提言のため積極的な意見発信を行っています。
知的財産委員会ホームページ https://chizai.jbmia.or.jp/

本件に関する問い合わせ先

一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会

知的財産委員会担当:千島 英朗

Tel: 03-6809-5010(代表)

Fax: 03-3451-1770

国立研究開発法人情報通信研究機構

先進的音声翻訳研究開発推進センター
先進的翻訳技術研究室

E-mail: textra-infoアットマークkhn.nict.go.jp