NICT鹿島宇宙技術センターの「鹿島34mパラボラアンテナ」は、同アンテナを利用した研究開発が終了したことと、老朽化が進行したことにより、2020年度中に撤去することとなりました。これにあたり、本アンテナによる数々の成果を振り返るとともに、これまでご協力いただいた多くの関係機関・関係者、支えていただいた地域の皆様に感謝するイベント「鹿島34mパラボラアンテナ運用終了記念式典」を2020年4月25日(土)に開催します。

左:VLBIの原理説明図。
左:VLBIの原理説明図。
右:鹿島34mアンテナにかかる虹
右:鹿島34mアンテナにかかる虹
鹿島宇宙技術センター(茨城県鹿嶋市)に設置されている鹿島34mパラボラアンテナ(以下、「鹿島34mアンテナ」)は、地球の表面を覆うプレートの動きを超長基線電波干渉法(VLBI)1を使って測る「西太平洋電波干渉計プロジェクト」の中心的な施設として1988年に設置・運用され、その後、30年以上にわたって、宇宙からの電波を利用した時間・空間に関する分野で多くの研究成果をあげてきました。このたび、これらの研究が終了したことに加え、本アンテナの老朽化も進行したため、2020年度中に鹿島34mアンテナを撤去することとなりました。
VLBI 技術は、NICTの前身である郵政省電波研究所が日本で初めて導入し、NICT、国立天文台、国土地理院、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、国立極地研究所などの機関による精力的な研究開発により、電波天文学、測地学、深宇宙探査機のナビゲーションに必須の技術として発展を続けてきました。NICTは、鹿島34mアンテナを用いてVLBI技術の精度改善と処理速度の高速化を進め、高速インターネット技術も活用して多くの技術開発に貢献し、これまで様々なプロジェクトを遂行してきました。なお、2019年9月9日(月)の台風15号によって鹿島34mアンテナは破損し、現在使用できない状態となっています。
鹿島34mアンテナの撤去に当たり、本アンテナによる数々の成果を振り返るとともに、これまでご協力いただいた多くの関係機関・関係者、支えていただいた地域の皆様に感謝するイベント「鹿島34mパラボラアンテナ運用終了記念式典」を2020年4月25日(土)に開催します。
一般の方々の参加を受け付けます。申し込みは「鹿島34mパラボラアンテナ運用終了記念式典」のページ(https://www2.nict.go.jp/sts/stmg/topics/2020MemorialCeremony/MCeremony.html)を参照してください。
1 VLBIは数億光年かなたの天体の電波を複数の電波望遠鏡で同時に受信し、各局で記録したデータを集めて処理することにより、天体の精密画像を得る観測技術として開発され、その後応用分野を広げてアンテナ間距離及び方向や地球回転の変化を精密に測定する宇宙測地技術としても使われている。

本件に関する問い合わせ先

電磁波研究所時空標準研究室

関戸 衛

E-mail: 34mlocアットマークml.nict.go.jp