情報通信研究機構は、「衛星通信と5G/Beyond 5Gの連携に関する検討会」(2019年8月~2020年2月)を開催し、国内の地上通信事業者、衛星通信事業者、メーカ、ポテンシャルユーザ、調査研究機関等の参加により、衛星通信と5Gを連携させることによる有効な利用分野、必要な技術課題と実現方法、評価とデモンストレーション、標準化等について具体的な検討を実施しました。その検討結果をまとめた報告書を公開します。

Beyond 5Gにおける通信ネットワークの概念
Beyond 5Gにおける通信ネットワークの概念

本検討会の主旨・目的

近年、5G/Beyond 5Gにおける衛星通信の役割が注目され、欧州のプロジェクトの活動や3GPPでの標準化が進展しています。この状況を踏まえ、本検討会では衛星通信と5Gを連携させることによる有効な利用分野、必要な技術課題と実現方法、評価とデモンストレーション、標準化等について具体的な検討を実施しました。

衛星5G連携の背景

近年の衛星通信の進化による高速大容量化・低コスト化や、5Gのネットワーク技術を衛星系に展開することで衛星5G連携が効率よく実現できる可能性が出てきた点、5Gで初めて3GPPで衛星を含む非地上系ネットワークの標準化が行われている点を背景として、衛星5G連携により従来にない利用分野の創造や従来の利用分野の革新的改善が期待されています。

利用分野等の検討

本検討会では、国内での有効な利用分野として、5G/Beyond 5G世代の国内の人口動態等の社会状況を踏まえ、「スマートシティ」、「モビリティ」、「非常災害時対応」の3つのカテゴリに対し有効なシステムの概念検討、有効性、必要な技術等を確認しました。国内でのトライアルについてもアンケートを行い様々な利用分野で有効性が期待されました。

Beyond 5Gで期待される通信ネットワーク

5Gの次の世代(Beyond 5G)における通信ネットワークは、宇宙から地上までが多層的に接続されるネットワークが前提となり、今後、研究開発が必要であることを確認しました。
本検討会に関心を示す多数の関係機関のご協力により活発な議論が行われましたことに感謝いたします。当機構は、本報告書を公開することにより更に多くの関係者との議論や連携を深めることを期待するとともに、今後もこの分野の取り組みを推進してまいります。

衛星通信と5G/Beyond 5Gの連携に関する検討会報告書:(以下のURLで公開)
https://www2.nict.go.jp/wireless/sat5g-scl.html

用語解説

3GPP(3rd Generation Partnership Project):

第3世代移動通信システム及びそれ以降の世代の移動通信システムの標準化作業における技術仕様の検討を行うためのパートナーシッププロジェクト。

非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Networks):

(無人)航空機または衛星等の宇宙機を中継器または基地局として活用した通信網。3GPPにおける5Gの検討において定義された。

本件に関する問い合わせ先

ワイヤレスネットワーク総合研究センター
宇宙通信研究室

三浦 周

E-mail: wl-publicityアットマークml.nict.go.jp