電波防護の新国際ガイドラインに、NICTが実施した多くの研究成果が反映されました
5Gの安全かつ安心な利用と普及を促進
2020年4月20日
国立研究開発法人情報通信研究機構
概要
経緯
新たな国際ガイドラインにおけるNICTの研究成果の引用
第1の課題は、第5世代移動通信システム(5G)等で利用が本格化する準ミリ波・ミリ波帯において、人体を構成する皮膚や脂肪、筋肉等の様々な組織(生体組織)の電磁気的な特性が正確にわかっていないため、これらの周波数帯における人体の電波吸収特性が正確に把握できないことでした。この課題を解決するために、NICTでは図1に示す高精度測定システムを開発して多数の生体組織の電磁気的な特性を測定し、準ミリ波・ミリ波帯における生体組織の電磁気的特性のデータベースを世界で初めて構築してきました。このデータベースに基づき、準ミリ波・ミリ波帯において、従来よりも圧倒的に高精度かつ高信頼な電波の人体吸収特性(図2)を明らかにしました。ICNIRPでは、今回の国際ガイドラインの改定作業においてNICTを含む複数の研究機関からの研究結果が精査されましたが、NICTの研究結果が最も信頼性が高いものとして、新たなガイドラインにおける防護レベルの直接の根拠として採用されました。
![図1:ミリ波帯電気定数測定システム 図1:ミリ波帯電気定数測定システム](lde9n20000010wxn-img/fig01.jpg)
![図2:準ミリ波・ミリ波帯における許容できる電波強度。赤実線はNICTの研究結果に基づく防護レベルであり、エラーバーは結果の信頼性を示す不確かさ(ある一定の確率で真の値が存在する範囲)。黒破線は従来の国際ガイドラインの防護レベルであり、黒実線は改定された国際ガイドラインの防護レベル。改定された国際ガイドラインでは、防護レベルが従来よりも緩和されている。 図2:準ミリ波・ミリ波帯における許容できる電波強度。赤実線はNICTの研究結果に基づく防護レベルであり、エラーバーは結果の信頼性を示す不確かさ(ある一定の確率で真の値が存在する範囲)。黒破線は従来の国際ガイドラインの防護レベルであり、黒実線は改定された国際ガイドラインの防護レベル。改定された国際ガイドラインでは、防護レベルが従来よりも緩和されている。](lde9n20000010wxn-img/fig02.jpg)
![図3:ICRP準拠小児数値モデル(左右両図とも、左から1歳児、5歳児、10歳児の数値モデル)。人体を構成する組織の種類により色分けして表示している。左図は皮膚を透明化した小児数値モデルの3次元表示画像。右図は小児数値モデルの断面図。 図3:ICRP準拠小児数値モデル(左右両図とも、左から1歳児、5歳児、10歳児の数値モデル)。人体を構成する組織の種類により色分けして表示している。左図は皮膚を透明化した小児数値モデルの3次元表示画像。右図は小児数値モデルの断面図。](lde9n20000010wxn-img/fig03.jpg)
補足1:NICTの電波の人体吸収特性の評価技術のこれまでの研究経緯
補足2:ICNIRPについて
補足3:ICRP参照値について
本件に関する問い合わせ先
電磁波研究所電磁環境研究室
渡辺 聡一
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