枚方市は、9月から市立枚方宿鍵屋資料館(堤町10-27)で、団体見学の来館者を対象に遠隔操作による非接触の館内案内を試験的に実践している。
 枚方市と連携協定を結ぶ国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の協力を得て実施しているもので、新しい生活様式「with コロナ」に対応した取り組みとして、あらかじめ撮影した各部屋の全方位の4K映像を複数の大型モニターやタブレット端末に同時に映し出し、学芸員が離れた場所から解説する。それにより、来館者は学芸員との密接を避けながら、まるでその場にいるかのような臨場感のある展示解説が受けられる。担当学芸員は「非接触による展示解説はまさに新しい生活様式のための取り組み。コロナ以前と同じように、来館者の皆さまに安心して資料館を楽しんでいただきたい」と意気込む。

枚方市内の資料館は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため3月10日から5月末まで休館していたが、6月1日からは館内消毒やスタッフのマスク着用など感染防止対策を徹底したうえで開館している。しかし、感染を防ぐため、これまで通りの来館者への案内が十分にできない状況となっていた。小学校をはじめとした団体見学では学芸員による解説の要望があるため、市立枚方宿鍵屋資料館では来館者と学芸員の密接を避ける取り組みとして、ICTを用いた館内案内を試験的に実践している。
今回の非接触の館内案内は、枚方市と連携協定を締結している、情報通信分野を専門とする唯一の公的研究機関である国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術協力を受けて実現した。あらかじめ、専用の360度カメラを使って資料館の各部屋内を撮影しておき、学芸員が別室でタブレット端末を操作しながら、その4K-360度映像を別棟2階大広間に置かれた複数の大型モニターに映し出して解説する。見学者には、隣の人との間隔を約1m空けてモニターの前に座ってもらう。また、大型モニターの映像が見えにくい人でも目前で同時に視聴できるよう、個別に複数のタブレット端末を配布する。
実際に館内案内を受けた来館者からは、「360度ビューの映像により遠近感が伝わってきたので、館内の様子が分かりやすかった。学芸員が別室にいることでソーシャルディスタンスが十分にとれて安全だと思う」と、非接触の展示解説に安心感を覚える声が寄せられた。
団体見学の申込者が対象で、事前予約制。館内案内を受け、アンケートを記入した先着100人に記念品のプレゼントあり。入館料は一般200円、高校生・大学生100円(要学生証)、中学生以下無料。休館日は火曜。
 
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                離れた場所から展示解説をする同館学芸員。
枚方宿鍵屋資料館ではNICTの協力のもと、他にも2種類の360度映像を制作し活用している。一つは、資料館の概要を紹介する公開用のバーチャル体験学習動画。YouTubeで配信しており、動画の長さは2分20秒。現在、文化財課と枚方宿鍵屋資料館のホームページにリンクを貼っている。
もう一つは、展示室の一部を紹介する館内視聴限定の動画。展示室内に貼っているQRコードを読み込むと、YouTubeで各展示室の詳しい解説を聞くことができる。現在、3つの展示室の解説動画を配信中。動画の長さは各1分程度。

本件に関する問い合わせ先

枚方市役所 観光にぎわい部 文化財課

Tel: 072-841-1411(直通)

市立枚方宿鍵屋資料館

Tel: 072-843-5128

国立研究開発法人情報通信研究機構
戦略的プログラムオフィス

今井弘二

Tel: 042-327-7607

E-mail: koji.imaiアットマークnict.go.jp