国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、令和3年度から新たに研究開発を開始する委託研究(公募)1課題について、下記のとおり受託者を決定しました。

1. 研究開発課題に対する提案課題と受託者

(1)ウイルス等感染症対策に資する情報通信技術の研究開発(課題番号 222)(8件を採択)

課題A)ウイルス等感染症により発生するパンデミック対策に資するICT

■提案課題:IoT無線制御技術と除菌ロボットを用いた最適除菌ルート制御と除菌効果の可視化による除菌自動化システム
受託者:アンドロボティクス株式会社(代表研究者)
ユニトライク株式会社
学校法人東京理科大学
医療法人桂水会
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概要:アンドロボティクス株式会社では、世界中で蔓延している新型コロナウイルスに代表されるウイルスなど感染症により発生するクラスター対策として、除菌ロボット「FRUTERA除菌仕様」を病院、学校などの公共施設に対し夜間帯に自動で除菌を行う目的として製品を開発した。そこで、除菌ロボットの除菌効果の実証実験を進める必要性があり、自律走行ルート最適化アルゴリズムの研究と除菌効果のエビデンスおよび効率手な評価方法の研究開発を計画する。

■提案課題:介護現場感染症対策支援のためのネットワーク化とAIプラットフォーム
受託者:株式会社富士通ソフトウェアテクノロジーズ(代表研究者)
国立大学法人横浜国立大学
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概要:新型コロナウイルス感染拡大により全国的に介護施設でクラスターが確認され、利用を控える被介護者が増える一方で介護員の人手不足が進み、介護事業者の経営がひっ迫している。また、コロナ禍に即した体調管理やストレス管理が課題となっている。そこで、BANとAIデータ分析により、感染の可能性がある被介護者/介護員の検知と通所・出所・訪問抑止、密集回避といった感染予防を促すための機能、被介護者/介護員のメンタルケアを行うための機能を実装した介護現場感染症対策支援システムの研究開発を行う。本開発により介護現場での感染拡大を防ぎ、必要な介護を必要な人が受けられるような、安心安全で持続可能な社会づくりへ貢献する。

■提案課題:COVID-19肺炎のCT画像をAI解析するためのプラットフォーム開発と実証展開
受託者:大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(代表研究者)
学校法人順天堂
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
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概要:COVID-19肺炎を胸部CT画像から識別し、外来患者から感染者を迅速、かつ高精度に見分ける人工知能 (AI)を開発、臨床現場へ展開する。そのために、X線CT画像を網羅的に蓄積したデータベースと深層学習向けの計算資源を統合したクラウドプラットフォームを構築する。このプラットフォーム上で、全身CT画像から肺CT画像のみを分離する技術、肺炎CT画像におけるCOVID-19肺炎典型度を分類するAIアルゴリズムを開発する。開発したAIを臨床現場において実証展開して評価する。

課題B)新型コロナウイルス感染症対策“新しい生活様式”を実現するためのICT

■提案課題:3密回避を実現するドローンAI協調型海ごみ自動回収運搬ロボットの開発
受託者:独立行政法人国立高等専門学校機構 仙台高等専門学校(代表研究者)
株式会社石井製作所
ダーディット株式会社
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概要:本研究課題では、コロナ禍で人手による回収が滞り大きな環境問題になっている海岸漂着の海ごみを、最小限の人手で回収する海ごみ自動回収運搬ロボットを開発する。提案者はAIで海岸漂着物を90%程度以上の精度で検出できるプログラムや自動走行車を開発しており、上空からドローン画像で海ごみが多い箇所をAIで特定し、海ごみを回収運搬するロボットを開発する。本研究によりコロナ禍や人口減少・高齢化社会において回収が困難になると予想される海ごみを、少人数・低コストで自動回収することができる。また、海ごみだけでなく、農林水産業の荷物運搬用やレーダ搭載インフラ点検など他の分野にも展開できる適用範囲の広い技術である。

■提案課題:「超」ハイブリッド 路線バスセンシングによる公共交通機関のスマート化基盤に関する研究開発
受託者:学校法人慶應義塾(代表研究者)
グリーンブルー株式会社
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概要:コロナ禍の環境に適応した新たな生活様式を具現化していくために、あらゆる日常生活場面において如何に感染リスクを下げるかが極めて重要である。その中で一般市民にとって生活手段として一般的な路線バスを如何に安心して利用できるかは重要な課題であり、また公共交通提供側としても運行中の路線バス車内の環境を把握することは、乗客だけでなく運転手の安全確保のためにも極めて重要である。このような状況下で、車内カメラ映像やIoTセンサーなどのセンシング技術のみならず、利用者からの情報、Web上のデータなどあらゆるデータをハイブリッドに分析し、リアルタイムに路線バス車内の混雑状況、「密」度状況など様々な状況を見える化する「超」ハイブリッド路線バスセンシングシステムを構築し、実際の路線バスで実証実験を行うことによりその有効性を実証する。

課題C)アフターコロナ社会を形成するICT

■提案課題:アフターコロナ時代の超多様性社会を実現するダイバーシティ・ドリブン・トラ ンスフォーメーション技術の研究開発
受託者:国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学(代表研究者)
国立大学法人東京大学
国立大学法人北見工業大学
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概要:アフターコロナ時代では、働き方の時空間的な制約が弱まることで逆都市化など人の移動が増大し、各地域での多様性の集積が進む。一方、デジタル空間での滞在時間の増加に反比例しリアル空間での交流は減少し、必ずしも多様性の集積がイノベーション創発へと繋がらず、ひいては住民同士の衝突や地域間移動による感染リスク拡大など負の側面が顕在化するなど、新たな社会課題が生じる可能性が存在する。本研究はこれらの課題を解決し、多様な人々の集積・交流によりイノベーションの創発を促す超多様性社会を実現するために、地域の多様性を測り・分析し・利活用を可能とするダイバーシティ・ドリブン・トランスフォーメーション技術を確立する。

■提案課題:多様な都市活動を支援する予測情報共有型時空間リソース有効活用技術の研究開発
受託者:株式会社アイ・トランスポート・ラボ(代表研究者)
国立大学法人東京大学
国立大学法人東北大学
LocationMind株式会社
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概要:本研究開発は、アフターコロナ社会の都市生活において、交通システム等のモビリティサービス、オフィス・都市施設等の空間利用サービス等に代表される時空間リソースを市民が安全・快適に利用するために、移動体データや各種アクティビティデータを駆使して、時空間での人々の動きをモニタリング・予測する技術の実用化と、その情報を市民と行政・企業が共有しながら、行動経済学的な原理に基づいた行動変容促進を通して、限られたリソースを有効に活用する技術開発に取り組む。また、研究開発成果の社会実装をめざし、アセットマネジメントやイベント企画・運営主体を想定ユーザとした実証実験を通して、ビジネス可能性についても検討する。

■提案課題:新生活様式におけるコミュニティ形成のためのサイバーフィジカル空間共有基盤
受託者:国立大学法人大阪大学(代表研究者)
株式会社KDDI総合研究所
国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学
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概要:アフターコロナ社会では、人々のコミュニティ維持や心のつながり形成のための遠隔コミュニケーションが一層重要となる。特に、各人が存在する物理空間を常時センシングし、精緻な空間データを仮想空間に持ち寄ることで互いの存在をシームレスに知覚する空間共有の実現が期待される。しかし、空間把握のための高精度3次元カメラや超臨場サウンドデバイス、ロボットなどのセンサーデバイスが取得するデータは、各人のプライバシー要求を反映しながら共有されることが大前提となる。本研究では人間のプライバシー要求の自動理解と、それに基づく精緻空間データの共有・アクセス制御技術を統合したサイバーフィジカル空間共有基盤の設計開発を行う。

2. 公募等の概要

上記の課題については、令和2年10月8日(木)から令和2年12月7日(月)まで公募を行いました。
NICTは、学識経験者で構成される評価委員会(委員長:中野美由紀 津田塾大学教授)の評価を経て、受託者を決定しました。
公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。
上記の課題は、令和3年度以降の実施を想定しており、予算の成立状況、NICTの次期中長期目標・計画の策定状況等によって、実施するかどうか、実施する場合にはスケジュールや内容等について、変更等があることをあらかじめご了承ください。

本件に関する問い合わせ先

イノベーション推進部門 委託研究推進室
中後 明、久保 和夫、鈴木 浩

Tel:042-327-6011

E-mail: info-itakuアットマークml.nict.go.jp