文部科学省の「令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」の授賞式が4月14日に行われ、国立研究開発法人情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究所ナショナルサイバートレーニングセンターは科学技術賞 理解増進部門を、サイバーセキュリティ研究所セキュリティ基盤研究室 青野良範テニュアトラック研究員は若手科学者賞を受賞しました。

科学技術分野の文部科学大臣表彰について

科学技術分野の文部科学大臣表彰は、文部科学省が、科学技術に関する研究開発などの中で顕著な成果を収めた者に対し、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲向上と日本の科学技術の水準向上に寄与することを目的として実施されるものです。

受賞者および受賞技術

1. 科学技術賞 理解増進部門:「国産基盤技術を活用したセキュリティ対応手順の普及啓発」

本部門は、青少年をはじめ広く国民の科学技術に関する関心及び理解の増進等に寄与し、又は地域において科学技術に関する知識の普及啓発等に寄与する活動を行った者を対象としています。

受賞者:

衛藤 将史 情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 ナショナルサイバートレーニングセンター 室長
金濱 信裕 情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 ナショナルサイバートレーニングセンター 主任研究技術員
花田 智洋 情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 ナショナルサイバートレーニングセンター 主任研究技術員
佐藤 公信  情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 ナショナルサイバートレーニングセンター 主任研究員
石川 大樹 情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 ナショナルサイバートレーニングセンター 主任研究技術員

概要:

従来、セキュリティ人材が社会全体として不足しており、実践的なインシデント対応が可能なセキュリティ運用者をより多く育成することが、社会的な課題となっていました。
本活動では、大規模な演習を効率的・効果的に実施するための国産基盤技術 CYDERANGE を独自開発しました。CYDERANGE は、効率的な事業推進のための演習環境の自動運用機能や、演習シナリオの自動生成機能、演習効果測定のための演習環境内での受講者の操作情報の収集・分析機能等を有し、2018 年度より実運用されています。
本活動により、年間 100 回を超える演習の運用が可能となり、2019 年度末時点で累計 11,019 人の受講を実現しました。また、主務官庁等との協力・連携による国の機関、独立行政法人等への周知徹底により、過去3年間での国の機関の未受講組織数が実質ゼロとなりました。さらに、全受講者数の一割を超える数の民間企業等からの受講者を受け入れるなど、我が国全体としてのセキュリティ対応能力の向上に寄与しています。

2. 若手科学者賞:「格子暗号の安全性評価に関する先駆的な研究」

本部門は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象としています。

受賞者:

青野 良範 情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 セキュリティ基盤研究室 テニュアトラック研究員

概要:

耐量子計算機暗号と呼ばれる、量子コンピュータを用いても解読の難しい暗号の開発が進んでいます。実用化に向けて乗り越えるべき課題として、求められる暗号強度を実現するための具体的な暗号パラメータの設定方法が長年議論されてきましたが、将来的な解読アルゴリズムの進化を見越してどの程度のマージンを取れば良いのかは未知数でした。
本研究では、代表的な耐量子計算機暗号として知られる格子暗号のパラメータ設定法に関して、ある種類の攻撃アルゴリズムとその改良を含むフレームワークを考え、計算時間の下限を理論的に証明し、長期間暗号の強度を保つことのできる暗号のパラメータ設定を可能としました。
本成果は、耐量子計算機暗号のパラメータ設定法の新たな指針を与え、暗号設計に関わるアルゴリズム分野の研究の進展に寄与することが期待されています。