国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、米国国立科学財団(NSF: National Science Foundation)との覚書に基づき、日米共同で提案を募集した脳情報通信に関する研究開発(第4回)について、下記のとおり、受託者を決定し、研究開発を開始しました。

1. 研究開発課題に対する提案課題と提案者

・国際共同研究プログラムに基づく日米連携による脳情報通信研究(第4回)(課題番号221)(2件を採択)

(Collaborative Research in Computational Neuroscience(CRCNS)-Innovative Approaches to Science and Engineering Research on Brain Function-)
■提案課題:シンプルな神経系をもつホヤにおける単一ニューロンレベルでの神経回路解析
受託者:国立大学法人筑波大学(代表研究者)
米国側共同研究者:カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校
フランス側共同研究者:フランス国立科学研究センターモンペリエ細胞生物学研究所
概要:本研究課題では、ホヤ幼生をモデルとして神経回路の動作機構や行動の定量化とモデル化に関する研究を行う。ホヤ幼生の中枢神経系は脊椎動物の脳神経系と多くの共通点を備えているが、177個という少数のニューロンから構成されている。また、コネクトームが完了し、177個のニューロンの配線図は完全に記載されている。本研究では、コネクトームにより同定された細胞と単一細胞トランスクリプトーム解析により得られた個々の細胞の遺伝子発現情報を統合し、各ニューロンの性状を解明する。その情報をもとに、動物の行動を支える神経回路の定量的なモデル化と実証実験を行う。また、これらのデータを公開するためのwebポータルを作成する。
■提案課題:霊長類の手を用いた物体操作に必要十分な大脳皮質・脊髄神経回路:生理学的実験・脳型コンピューター・ロボットハンド研究の融合による構成論的検証
受託者:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(代表研究者)
米国側共同研究者:南カリフォルニア大学
概要:人工構造物の動きが柔軟性に乏しいのは、全ての動きについて事前プログラムが必要なためである。一方、生体の動きの高い柔軟性は、環境・状態変化に対して柔軟に自己組織化する皮質下構造と、司令塔としての大脳皮質の分散制御に大きく依存する。本研究の目的は、高い制御の柔軟性を持つ、生体模倣型ロボットハンドの開発にある。そのため、まず新規実験技術を開発して、サルの把握運動時の大脳皮質と脊髄ニューロンのスパイク活動を多種類・多数記録する。そして、それを脳型コンピューターの大規模集積回路に直接入力して、ロボットハンドなどの手の制御を行わせる過程を通して、大脳皮質と脊髄の相対的役割を構成論的に理解する。

2. 公募等の概要

上記の課題については、2020年9月11日(金)から2020年12月14日(月)まで公募を行いました。公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。

本件に関する問い合わせ先

イノベーション推進部門 委託研究推進室

中後 明、久保 和夫、近藤 健

Tel: 042-327-6011

E-mail: info-itakuアットマークml.nict.go.jp