宇宙の電磁波が地上に伝わる“通り道”を可視化することに成功!
国際協力による同時多地点観測から、電磁波の約5万キロに及ぶ旅路を解明
2021年12月8日
国立研究開発法人情報通信研究機構
研究の背景
研究成果の概要
- 本国際共同研究グループは、日本の科学衛星「あらせ」、アメリカの科学衛星「Van Allen Probes」による宇宙からの観測と、日本が世界各国に展開する「PWING誘導磁力計ネットワーク」、カナダが北米を中心に展開する「CARISMA誘導磁力計ネットワーク」による地球からの観測を連携させ、宇宙で自然発生する電磁波の一種である「イオン波※3」を異なる場所から同時観測することに成功しました。
- 各拠点で得られた観測データを比較し、比較的広い空間範囲に励起したイオン波のうち、ストロー状の“通り道”に存在する限られた波だけが、宇宙空間の他の場所や地上へと伝搬していることを明らかにしました。イオン波を伝えるストロー状の経路が、地磁気赤道から地上では約5万キロメートルの長さとなるのに対し、経路の断面は千分の一ほどのスケールしかなく、広い宇宙空間で極めて局所的に伝搬経路が形成されることを解明しました。
- 科学衛星「あらせ」と「Van Allen Probes」による精密なプラズマ粒子計測によって、イオン波が“電磁波の通り道”を伝わっていく過程で冷たいプラズマにエネルギーを与え、周辺のプラズマ環境を変化させている様子も合わせて観測されました。イオン波はプロトンオーロラ※4と呼ばれる種類のオーロラを光らせることでも知られており、本研究の成果はプロトンオーロラの元となるエネルギーが宇宙から地上へと伝わる経路を明らかにした、と解釈することもできます。
今後の展開
掲載論文
用語解説
本件に関する問い合わせ先
電磁波研究所 電磁波伝搬研究センター 宇宙環境研究室
E-mail:
金沢大学
理工研究域電子情報通信学系
Tel: 076-234-4874
E-mail: