国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)、株式会社ウェザーニューズは、LINE株式会社の協力を得て、国民一人ひとりの避難と災害対応機関の意思決定を支援する「防災チャットボット『SOCDA*』」の研究開発を実施しています。これは、図1に示すとおり、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」のテーマⅠ「避難・緊急活動支援統合システムの研究開発」(研究責任者:防災科研 臼田裕一郎)のサブテーマ1-3「対話型災害情報流通基盤の研究開発」に位置づいています。
このたび、このSOCDAの実証実験を、5月31日に行われる伊丹市水防図上訓練に参加する中で実施することとなりました。
*SOCDA: 対話型災害情報流通基盤(SOCial-dynamics observation and victims support Dialogue Agent platform for disaster management)の呼称。「ソクダ」。
 
図1: 避難・緊急活動支援統合システム全体像と今回の対象範囲(赤点線)
図1: 避難・緊急活動支援統合システム全体像と今回の対象範囲(赤点線)
図2: 防災チャットボット『SOCDA』の全体像と今回の対象範囲(赤点線)
図2: 防災チャットボット『SOCDA』の全体像と今回の対象範囲(赤点線)
伊丹市では、平成30年台風第21号の被害を再現し、SNS情報の有用性を徹底検証することを目的としており、当研究チームとしては、これを支援するとともに、図2に示す防災チャットボットの機能検証と自治体におけるニーズ把握を行います。具体的には、図3に示す内容を実施します。
 
図3: 伊丹市水防図上訓練でのSOCDAに関する実施内容
図3: 伊丹市水防図上訓練でのSOCDAに関する実施内容
① 平成30年台風第21号通過後(平成30年9月4日~7日)の実際にtwitter上で発信されたツイートデータを、情報通信研究機構が開発したSNS上の災害情報分析システムDISAANA(ディサーナ)・D-SUMM(ディーサム)により地図上へ可視化
② 市職員が被害状況を把握
③ 被害が発生していると思われるエリアについて市役所職員が調査
④ その結果をSOCDAで報告し、DISAANA・D-SUMMで分析
⑤⑥⑦ 避難行動要支援者の安否確認をSOCDAにより実施 
 
今後、SOCDAの開発については、DISAANA・D-SUMMに相当する対話処理機能の開発・実装、防災科研が開発したSIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)との連携等を行い、さらなる強化を図る予定です。研究開発は5ヵ年計画の2年目にあたり、まだ全体が自動で稼働する状態にはありませんが、部分的にでも検証できるところから自治体等と連携し、社会と協働で開発を進める「アジャイル型研究開発」を信条としています。今後も順次、技術開発と実証実験を繰り返し実施してまいります。
【参考(伊丹市プレスリリース)】
伊丹市「SNSを活用した伊丹市水防図上訓練を官民連携で実施」
※市民に伝わりやすい表現として、SOCDAは「LINE防災チャットボット」と記載されています。
【過去事例】
神戸市「LINE@チャットボットを活用した「災害情報収集実証実験」をしてみます」
NICT「神戸市にて防災チャットボットを活用した「災害情報収集実証実験」を実施」
下田市他「下田市における未来型AI防災訓練の実施」
LINE「LINEのチャットボットと、災害時の情報収集・共有のためのシステムを活用した防災訓練を実施しました」