2019年度新規委託研究(公募第二弾)の受託者を決定
2019年8月6日
国立研究開発法人情報通信研究機構
NICTは、2019年度から新たに研究開発を開始する委託研究(公募第二弾)4課題について、下記のとおり受託者を決定しました。
1. 研究開発課題に対する提案課題と受託者
(1) 次世代MCM超小型光トランシーバの研究開発 (1件を採択)
富士ゼロックス株式会社
富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 概要表示
- 概要: データセンターの大容量化に対応する超小型の革新的なMCM(Multi-Chip Module)型光トランシーバの基盤技術を開発することを目的とする。マルチコアファイバとVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイを用いて、高密度空間並列光伝送技術を基盤とし、400 Gbps級超小型光トランシーバの実現可能性を実証する。本光トランシーバ技術の実現により、チップ間・ボード間の大容量光インターコネクションを可能とし、さらに、スイッチ装置の小型化・低消費電力化及びデータセンターネットワークの低遅延化への貢献を目指す。
(2) 脳波(事象関連電位)- fMRI同時計測に関する研究開発 (1件を採択)
株式会社国際電気通信基礎技術研究所 概要表示
- 概要: 実環境における脳情報通信技術の開発には、脳波による脳活動計測の活用が期待されるが、その空間分解能が低いという欠点がある。そこで、脳波データと空間分解能の高いfMRIデータとを関連付け、脳波による脳活動計測結果に同時に計測されたfMRIで得られた情報を付加することで、脳波による脳情報通信技術において、脳波の欠点を補完することができる。本研究開発では、脳波とfMRIとの同時計測データを取得し、fMRIデータと脳波のデータをつなぐ技術を開発することにより、脳波による脳活動計測結果に対して、fMRIの情報を付加できるようにすることを目的とする。
(3) データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)(10件を採択)
日本ユニシス株式会社 概要表示
- 概要: 過疎高齢化の進む中国中山間地域の農業を収益性の高い農業に転換することを目標に、カット野菜を対象として、農地~実需にいたる様々な情報を統合し、柔軟で安定した原材料の調達による、効率的な商品の生産・出荷体制の構築に資するシステムの開発と実証を行う。開発するシステムは、刻々と変化する生育状況や出荷状況を時系列でリアルタイムに共有・整理可能なクロノロジー型とする。本研究開発では、交通状況や需要予測等も考慮した原材料の入荷日・量、そして、生産される商品の出荷にいたる時系列データのAI分析等による新しいビジネスモデルの創出に資する、革新的な情報通信プラットフォームに発展することが期待できる。
国立大学法人山梨大学
山梨県富士山科学研究所
一般社団法人山梨県情報通信業協会
公益財団法人山梨総合研究所
日本電気株式会社 概要表示
- 概要: ソーシャルビッグデータの利活用に関する研究開発が進められ、様々な分野で利活用する実証実験が行われてきている。こうしたプロジェクトで収集されたデータは、オープンデータとして自治体や民間に提供し、活用されることが望まれることはいうまでもなく、Society5.0の推進にとっても不可欠である。それにもかかわらず、実際にはデータの存在の相互認識不足、目的外利用が認められない等の理由により、それぞれのプロジェクト以外での利用が進まず、多くのデータが利活用されていない現状がある。このような状況を打開するために、本研究開発では、山梨をフィールドとして、気象データ等の開示や、パーソナルデータをオープン化する処理を施す等の工夫を行い、データを新たに抽出・編成し直してクラウドに蓄積・表示し、それらのデータを地域における課題に適用することにより、その有効性の検証を行う。
栃木県酪農業協同組合
学校法人中央大学 概要表示
- 概要: 日本では酪農経営の大規模化と効率化が進められてきた結果、日本型のきめ細かい飼養管理は失われつつある。きめが細かくウシに優しい飼養管理により、疾病率を下げ、繁殖効率を上げ、生乳の質を高めることが出来る。その一つの手段が放牧である。本研究開発では、AIにより放牧中のウシの行動や採草量を把握するアルゴリズムを開発し、よりきめ細かい放牧飼養により乳質向上を目指す。高品質乳から、高品質バター・チーズ、洋菓子、レストランの食材という付加価値向上チェインを実現する。日欧EPAにより、ヨーロッパの安い乳製品の輸入増が懸念されるが、欧州での和食人気もあり、高品質で特色ある乳製品として輸出への寄与も期待される。
- 概要: 本研究開発では、年々増えている重症心身障害児の微細な反応を、「表情解析」「映像解析」「音解析」「IoTセンサー」等の複合的な技術によってデータ化、重症心身障害児の養育者及び専門識者の感覚で捉える情報を可視化し、重症児の意思表示や反応をスマホ等のデバイスでリアルタイムに養育者もしくは専門識者が確認することで、負担軽減できるアプリケーションシステムを開発する。
特定非営利活動法人位置情報サービス研究機構 概要表示
- 概要: 中部地域では、迫りくる南海トラフ地震に対する様々な対策が進められてはいるが、情報通信技術を活用したデータ連携の枠組みは十分とは言えない。特に近年急速に発展している人流データの利用検討が進んでおらず、災害により滞留者が発生してもその情報共有が十分に行えず、迅速な避難誘導や適切な支援者派遣が困難である。また、災害発生時用に構築されたシステムは、平時は運用されていないため、いざというときに十分に活用できない場合がある。本研究開発では、平時・災害時のどちらでも利用できる人流データ連携フラットフォームを構築し、平時における中部地域のおもてなし力の向上と同時に、災害時の迅速な避難誘導の実現を目指す。
株式会社コロプラ 概要表示
- 概要: 本研究開発では、レンタカー車両に搭載したGPSロガー及び通信型カーナビから収集したデータを連携・活用することによって、レンタカー利用者の利便性向上、レンタカー事業者のオペレーション改善、地域社会における観光振興ならびに交通課題解決に寄与することを目的とする、レンタカー走行データを活用した訪日外国人との共生エコシステムの研究開発に取り組む。福岡県福岡市及びレンタカー事業者との実証実験を通して、レンタカー走行データが大規模かつ継続的に収集され、地域社会課題解決や技術革新をもたらすエコシステムを構築可能であることを検証する。
- 概要: 医療・介護現場では、患者の見守りが大きな負担になっている。その1つに、褥瘡(じょくそう ※床ずれ)予防がある。褥瘡予防は、体位変換・シーティング等によって行うが、高頻度かつ看護・介護者の身体的な負担が高いにもかかわらず、論理的な対応が難しく、経験に頼るところが多い。本研究開発では、3次元センシングにより患者の姿勢推定・荷重検知を行い、褥瘡との相関を論理的に推定することを目的とする。また、病院や施設に容易に設置可能なLPWA(Low Power Wide Area)を使うことで、センシング状態を集約し、遠隔でのリアルタイム監視を行うとともに、データ分析を行うことで処置のエビデンスを得る。成果を基に医療・介護現場での社会実装を図る。
株式会社テクノフェイス 概要表示
- 概要: 本研究開発では、エッジコンピューティング環境を利用して、カメラ画像のみから動物の行動をリアルタイムに分類する人工知能システムを開発する。動物園を対象とした実証実験により、動物がいつどのような行動をとっていたのか、異常行動はないか等を判断することで、動物の日々の体調管理、異常時のアラートや発情期の把握等を容易にすることで人材不足である地域の問題解決を目指す。また、データの収集・利活用を行うためのデータプラットフォーム開発を行い、各地域の動物園でのデータの相互利用を可能とする。これらの技術開発を基礎として、マウスやラットの実験動物への応用、さらには、鳥獣害に悩まされている地域の問題解決を図る。
三井共同建設コンサルタント株式会社 概要表示
- 概要: 平成30年7月の豪雨災害によって、広島県では土石流・土砂崩れが多数発生し、砂防ダムや橋梁が破壊、道路が寸断される等の甚大な被害が生じた。コンクリート構造物の劣化・老朽化に関する点検が求められているが、作業工程の複雑さや人材不足等により実現が遅れている。本研究開発では、コンクリートの表面状態を撮影し、ひび割れ等による劣化や破損状態を自動検出し、危険度を判定するドローン搭載型深層学習組み込み装置を開発する。データをクラウドに収集すると同時に、現場でリアルタイムに危険度判定を可視化するタブレットシステムを開発する。広島や関東で実証実験を行いながら、撮影角度や距離情報を考慮した危険度自動判定を実現する。
- 概要: 主要駅から自宅まで、ラストワンマイル(歩道等)でのスモールモビリティ(パーソナルモビリティ、将来的には無人搬送ロボット)の自律走行が必ず求められる近未来を皆が感じている。歩道には、市民生活により地図には表現されない、動く、あるいは置き場所が変わる物体が多々存在する。そのことから、環境中に磁気の乱れやWi-Fi信号強度等、目には見えない情報(不可視情報)を地図とし、オープンデータとして社会に提供することを提案する。これまでの知財、ノウハウを駆使し、不可視地図データを作成する装置を開発し、市・県と連携してスマートモビリティエリアでの実践的なデモを行い、本成果の効果・有用性をアピールする。
(4) 光ネットワーク物理層における障害復旧能力の抜本的向上に向けた装置種別集約と装置設定継承自動化に関する研究開発 (1件を採択)
- 概要: 複数の利得の異なる光増幅媒体を、光スイッチを介して配置し、光スイッチを切り替えることにより、雑音指数の劣化を最小としつつ、光ファイバ増幅器の利得可変レンジを劇的に拡大することで製品ラインアップの集約を図る。また装置設定の自動化を行うことで、管理パッケージ機器交換時の架前での再設定作業の最小化を図る。これらを具現化することで、誰でもミスなく、容易に保守運用ができるような製品設計(ユニバーサルデザイン)と柔軟なネットワーク構成の構築が可能な製品ラインアップの両立を実現する。
2. 公募等の概要
NICTは、学識経験者で構成される評価委員会(委員長: 村上仁己 成蹊大学元教授)の評価を経て、受託者を決定しました。
公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。
https://www.nict.go.jp/collabo/commission/20190513kobo.html
本件に関する問い合わせ先
Tel:042-327-6011
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