国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、Beyond 5G研究開発促進事業のうち、令和3年度新規委託研究の公募(第1回)における一般課題について、下記のとおり採択しました。

1. 提案研究開発課題及び提案者

(1)Beyond 5Gを活用した安全かつ効率的なクラウドロボティクスの実現

提案者:日本電気株式会社(代表提案者)、国立大学法人大阪大学
概要表示
概要:B5G 無線通信ネットワークと次世代エッジクラウドコンピューティング基盤との連携により、実世界をデジタル化し、仮想世界と融合させることにより、安全・高効率なクラウドロボティクスを対象としたサービスの基盤となるデジタルツインを構築する。本デジタルツインにおいては、実世界を4次元データ(時間と空間)にて確率的に表現し、学習によって獲得した知識や予測結果を実世界の行動決定に用いることで、多数の人とロボットの安全かつ効率的な協調・共存を可能とする。さらに、B5Gを想定したフィールド実験を実施することによって、クラウドロボティクスにとどまらず、さまざまな新規サービスを創出するための基盤となりうることを実証する。

(2)継続的進化を可能とするB5G IoT SoC及びIoTソリューション構築プラットホームの研究開発

提案者:シャープ株式会社(代表提案者)、シャープ福山セミコンダクター株式会社、国立大学法人東京大学、国立大学法人東京工業大学、日本無線株式会社
概要表示
概要:2030年のB5G商用化に向けて、高い安全性と相互に連携する超多数同時接続を可能とするIoT端末を実用化する為には、多様なニーズに柔軟に対応できるハードウェアおよびソフトウェア並びに、改変可能でプログラマブルな開発環境が必要になる。本研究開発では、用途に応じた改変ができず、最適化が困難且つオーバースペックな海外ベンダー製通信半導体依存からの脱却を目標に、低コストで無線端末用の拡張性を備えた国産のB5G対応IoT向けソフトウェア無線ベースバンドSoC(System on Chip)とミリ波対応RFフロントエンドLSIの研究開発を行い、潜在ニーズの探索や価値創出を実現、国際競争力の強化に貢献する。

(3)超低雑音信号発生技術に基づく300GHz帯多値無線通信に関する研究開発

提案者:国立大学法人大阪大学(代表提案者)、IMRA AMERICA, INC.、国立大学法人九州大学、国立大学法人東京大学、学校法人北里研究所
概要表示
概要:本研究開発は、光技術に基づく300GHz帯の超低雑音信号発生技術を基に、光電変換技術ならびに受信技術の高度化を進め、マイクロ波帯並の多値化を可能とする無線システムの実現を目指す。具体的には、3年間で、256QAM多値変調により200Gbit/s/chを目標とし、加えて、伝送実験において通信距離>200mを実証する。

(4)Beyond 5G時代に向けた空間モード制御光伝送基盤技術の研究開発

提案者:日本電信電話株式会社(代表提案者)、住友電気工業株式会社、日本電気株式会社、古河電気工業株式会社、学校法人千葉工業大学
概要表示
概要:B5G時代の超大容量光コアネットワーク実現に向け、空間モードを積極的に活用・制御した大容量・長距離光トランスポート技術を確立する。具体的には、光ファイバケーブル敷設環境や量産性に適した標準クラッド外径125μmの空間モード制御光ファイバ実装技術、また、ケーブル敷設特性に起因する動的光学特性を考慮した長距離ダイナミック低負荷MIMO処理構成基盤技術、さらに両者を統合した空間モード多重光増幅中継基盤技術を有機的に連携させた基盤技術の確立を図る。また、陸上光ネットワークにおける相互接続性を担保し、グローバルな市場形成・ビジネス化を念頭に、ITU-T、IECを中心として本確立技術の国際標準化を推進する。

(5)行動変容と交通インフラの動的制御によるスマートな都市交通基盤技術の研究開発

提案者:国立大学法人東京大学(代表提案者)、株式会社トラフィックブレイン、株式会社MaaS Tech Japan
概要表示
概要:本研究開発では、都市交通の利用者、バスやタクシーなどの車両、信号機などの交通インフラがセンサを備えネットワーク化された環境において、リアルタイムにそれぞれを制御し、最適な都市交通を実現する基盤技術を開発する。本技術はスマートシティの交通マネジメントのための基盤技術であり、数秒から数十分という時間軸での交通最適化だけでなく、数日から数ヶ月の範囲の運行計画の最適化や、政策レベルとなる数年単位での地域交通計画や都市計画まで対象として、地域に最適な交通を実現する。提案技術は自治体や交通事業者と共同で実証実験を行うとともに、データやアーキテクチャの標準化提案に繋げる。

(6)Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤の研究開発

提案者:日本電気株式会社(代表提案者)、国立大学法人東京大学
概要表示
概要:超高速・大容量、超低遅延、超多接続Beyond 5Gと密連携し、OTレベルのリアルタイム処理を実行し、OTとITが融合した多彩なサービスが提供可能となる同期型CPSの実現に不可欠な技術の研究開発を行う。①ITの分析、学習に加え、OTの認識・判断・制御の機能がネットワークと連携動作し、スケーラブルでアジャイルにソフトウェア開発・運用ができるネットワーク型OT制御コンピューティング処理基盤、②高周波帯を利用し、アプリケーション品質を満たすためのQoE指向時空間ダイナミック無線リソース制御技術、③無線リソース、計算リソース等の動的変化に対応するゼロトラスト・スケーラブルアクセス制御技術を開発する。

(7)Beyond 5G超高速・超大容量無線通信システムのためのヘテロジニアス光電子融合技術の研究開発

提案者:国立大学法人東北大学(代表提案者)、パナソニック株式会社、浜松ホトニクス株式会社、住友大阪セメント株式会社、学校法人早稲田大学
概要表示
概要:第一に、光信号から100 GHzないし300 GHz以上にわたる無線通信周波数帯への100 Gbps級広帯域周波数下方変換機能ならびに当該無線通信周波数帯から中間周波数帯へ下方変換するミキサ機能を化合物半導体およびグラフェンによる“単一素子”で実現し、かつ後段の信号処理系との集積化を実現するデバイス技術を開発する。第二に、LNによる100 Gbaud級/laneで半波長電圧4 V級の高速低消費電力な光変調機能、小面積で高度な光信号操作が可能なSiPh光回路機能、化合物半導体による光源機能等を集積化したHG-PICsで実現する、低消費電力、環境耐性の高い光データ生成技術を開発する。それら開発した光→B5G変換およびB5G→光変換を果たす両デバイスは、テストベッドによる評価を通して、システムとしての有効性を検証する。

(8)Beyond 5G通信インフラを高効率に構成するメトロアクセス光技術の研究開発

提案者:三菱電機株式会社(代表提案者)、株式会社KDDI総合研究所、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人大阪大学、公立大学法人大阪 大阪府立大学
概要表示
概要:B5Gの超大容量・超低遅延・超多接続サービスや異なる地理的/量的条件に設置されるRANシステムを柔軟かつ超高効率に収容可能なメトロアクセス光技術を確立する。双方向100Gb/s超の無線信号伝送が可能な次世代光ファイバ無線技術に基づくモバイルフロントホール構成手法および小型光デバイス技術、集約した様々なRANサービスを効率転送可能とする仮想光チャネル技術、それらを支える高度なアナログ・デジタル協調技術、光・電気協調技術を確立する。経済的かつ実用性の高い方式や構成を見出し国際競争力の高い技術として実証することで、ミリ波・テラヘルツ波・赤外光利用が想定されるB5G展開を促進し電波有効利用に資する。

(9)NTNノードのネットワーク化技術開発とカバレッジ拡張ユースケースのシステム開発・実証

提案者:スカパーJSAT株式会社(代表提案者)、日本電信電話株式会社、株式会社NTTドコモ、パナソニック株式会社
概要表示
概要:B5Gにおいては、NTNによる上空・海上・宇宙へのユースケースに応じたサービスカバレッジの拡張が特に期待されている。本研究開発では、従来衛星などNTNのプラットホームタイプの個別ノード毎に地上網と接続されていたものを、光やKa・Q帯等NTNのノードに応じた手法によりNTNノード間の通信回線の確立と維持を行い、ネットワーク化して地上網と統合する技術開発を行う。また統合されたNTNのリソースをユースケースの通信要件に対応して確保・利用し、状況に応じて迂回が行えるよう、ノード間のネットワーク制御技術を開発して、B5G網全体の最適化と自動運行管理が行えるようにする。合わせて典型的なカバレッジ拡張のユースケースの開発実証を行う。

(10)スマートモビリティプラットフォームの実現に向けたドローン・自動運転車の協調制御プラットフォームの研究開発

提案者:KDDI株式会社(代表提案者)、アイサンテクノロジー株式会社
概要表示
概要:本研究開発では、物流の最適化・自動化やヒトの移動の自由化、社会インフラメンテナンスの高度化などあらゆる領域へのサービスを提供する社会基盤として成立し得るスマートモビリティプラットフォームの構築を目指す。本研究開発期間において、まずはドローン・自動運転車に対し共通のプラットフォームに基づいた協調制御を行うための要素技術の開発を行った上で、ヒトの自由な移動・物流最適化・自動配送につながる実証実験にまで踏み込む。

(11)協調型自律ネットワークの研究開発

提案者:沖電気工業株式会社(代表提案者)、楽天モバイル株式会社、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
概要表示
概要:自律ネットワークのフレームワークの研究開発としてネットワークの自己適応・自己最適化のための人工知能、人工進化、ネットワークシミュレーションの研究開発を行う。このネットワークに高精細ディスプレイ・カメラ等のI/Fを備え、複数のサービスモジュールを搭載した自律移動車(ロボティクス)等の端末を結合し、自律的にサービスの効率化やリソースの有効活用を行うために必要な、ネットワーク側の自己適用・自己最適化との連携を可能とするリファレンスモデルを開発し標準化を行う。さらに、自律ネットワークと自律移動車を開発しテストベッド上で連携させ、社会実装に向けて技術の有効性を確認する。

(12)Beyond 5Gに資するワイドバンドギャップ半導体高出力デバイス技術/回路技術の研究開発

提案者:株式会社ブロードバンドタワー(代表提案者)、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学、国立大学法人名古屋工業大学、三菱電機株式会社
概要表示
概要:5Gで実用化されている窒化ガリウム素子の材料品質を向上させ、その物性を最大限引き出すことで、Beyond 5Gで求められる高速・大容量無線通信に必須の広帯域性・低歪性に加え、高出力かつ信頼性向上も期待される「ワイドバンドギャップ半導体高出力デバイス技術/回路技術」を開発する。

(13)低軌道衛星を利用したIoT超カバレージの研究

提案者:国立大学法人東京大学(代表提案者)、楽天モバイル株式会社
概要表示
概要:国土面積カバー率100%でIoTセンサーからデータを収集するためには、山岳地帯・海洋などの情報通信の未開拓領域での通信環境構築が課題であり、衛星通信を活用する場合であっても地上局を整備する必要があることから、新たな敷設コストの合理化が難しいという課題の解決を目的とした、IoTセンサーに具備された既存の携帯通信モジュール(4G/5G/B5G)の通信周波数を衛星から直接収容し、衛星の地上中継局を敷設することなくカバレージ拡張を実現する研究開発を実施します。

(14)移動通信三次元空間セル構成

提案者:ソフトバンク株式会社(代表提案者)
概要表示
概要:昨今、都市部を中心にビルの中高層階における携帯通信が増大している。また、上空を移動するドローンや空飛ぶ自動車などが話題となっており、それらとの通信を確保する手段として、移動通信の活用が期待されている。本研究開発では、現行の二次元地上セル構成から中高層階や上空の携帯端末との通信を同時利用可能とする “同一周波数利用三次元空間セル構成”を提案する。一方、三次元空間セル構成では同一周波数を利用する他システム(例えば、衛星通信システム)への干渉が懸念される。そこで、他システムへの干渉を抑圧し、同一周波数を共用可能とする“同一周波数共用三次元空間セル構成”を併せて提案する。これらにより、「周波数の一次利用、二次利用の壁」を取り除くことを可能とする新たな概念の“三次元空間セル構成”の構築を目指す。

(15)超低消費電力・大容量データ伝送を実現する革新的EOポリマー/Siハイブリッド変調技術の研究開発

提案者:国立大学法人徳島大学(代表提案者)、国立大学法人九州大学、公立大学法人会津大学
概要表示
概要:Beyond 5G(6G)が普及する2030年には、光ファイバ網および移動(無線)通信の大容量化が加速し、情報通信のシームレス化・大容量化と共に、カーボンニュートラルに向けた低消費電力化が重要になると予想される。本提案では、光通信トラフィックを牽引する光コンポーネントとして、ナノハイブリッド技術を活用した電気光学(EO)ポリマー・シリコンナノハイブリッド光変調器を検討する。本技術は世界最高性能のEOポリマー材料および光変調器を開発している九州大学と会津大学、およびハイブリッドフォトニクスをこれまで研究してきた徳島大学とが共同で検討し、社会実装協力者が目指す実用化への貢献も果たす。

(16)Beyond 5Gのレジリエンスを実現するネットワーク制御技術の研究開発

提案者:国立大学法人東北大学(代表提案者)、国立大学法人広島大学、日本電業工作株式会社
概要表示
概要:平時には、再生可能エネルギーと蓄電池による自立電源で可能な限りBeyond 5G(B5G)ネットワーク(NW)のRAN(Radio Access Network)を稼働させ、災害時には、自立電源により生き残ったRANに関して、電力も含めたNWリソースの適応制御により、通信を確保するグリーンでレジリエントなRANを実現する。具体的には、SDNとNFVにより仮想化されたNWアーキテクチャを前提に、災害レベルに応じたB5GのRANにおけるセル構成の適応制御の研究開発を実施。

(17)海中・水中IoTにおける無線通信技術の研究開発

提案者:国立大学法人九州工業大学(代表提案者)、パナソニック株式会社
概要表示
概要:本提案は海中・水中IoTにおける革新的無線通信技術を研究開発するものである。想定する2つのアウトカム事例を用いて説明すると、(1)革新的な水中アンテナを用いたアクセスポイントとIoTデバイス間の中距離通信、(2)水中の大規模構造物等に設置されたIoTデバイス網のマルチホップ技術による長距離通信である。これらのアウトカムを実現可能とする海中・水中における電波伝搬の基礎検討、アンテナ設計技術開発、本システムを自律型潜航艇(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)に搭載した海洋実証実験を通して海中・水中IoTの無線通信基盤技術の確立と検証を行う。

(18)完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術

提案者:ソフトバンク株式会社(代表提案者)、国立大学法人京都大学、学校法人金沢工業大学
概要表示
概要:Society5.0社会においてIoTデバイスの普及を爆発的に拡大させるために、B5G(Beyond 5G)では電力も含めた完全ワイヤレス化が重要な課題である。申請者らは、ワイヤレス電力伝送の社会実装を果たし、IoTデバイスに対する給電インフラの構築を目指す。上記目標を達成するためにワイヤレス電力伝送のミリ波帯への移行、ミリ波通信とワイヤレス電力伝送の連携・融合(周波数共用)、既存ミリ波通信基地局における電力利用についての研究開発を実施する。B5Gでは通信・電力伝送の完全ワイヤレス化を達成し、新規ビジネス創世に向けたサービスプラットフォームを構築する。

(19)エマージング技術に対応したダイナミックセキュアネットワーク技術の研究開発

提案者:アラクサラネットワークス株式会社(代表提案者)、学校法人慶應義塾、株式会社KDDI総合研究所
概要表示
概要:Beyond 5G時代の通信網には、多種多様な機器が接続され、電波資源の有効活用のためには、無駄な通信を排除し通信網全体での高度セキュア化が必要である。光通信技術による帯域と距離の克服を利用して、限られた計算資源・人的資源を効率的に利活用してセキュアネットワークを実現するために、①プログラマブルノード(ネットワークセンサ)技術、②セキュアな広域低遅延通信実現をサポートする高度プロービング技術、③デジタルツイン監視を実現するためのAPIによるIn-Network Security技術、の研究開発を行う。また、開発した技術をキャンパス網やテストベッド網での概念実証を通じて有効性を検証し、セキュアネットワークの観点からの電波資源の有効利用に寄与する。

(20)次世代の5次元モバイルインフラ技術の研究開発

提案者:日本電気株式会社(代表提案者)、国立大学法人電気通信大学、国立大学法人信州大学、NECスペーステクノロジー株式会社
概要表示
概要:B5G実現の鍵は、超高速に反するカバレッジ拡大と世界共通の周波数問題の解決である。本研究開発によりNTNと地上システム連携による超高速化とカバレッジ拡大実現の見通しを得ると同時に、革新的な周波数活用技術を獲得することで、B5G研究開発において日本が世界をリードし、イニシアティブを再獲得する。現状、様々な技術革新により低軌道衛星(LEO)コンステレーションによる地球上全家庭への公平・効率なブロードバンド環境の提供が実現しつつあるが、限りある資源である周波数の利活用は限定的であり、地上の超高速モバイル通信適用の課題は山積している。本研究開発は課題を克服し、NTN実現に不可欠な技術革新に取り組むものである。

2. 公募等の概要

本課題については、令和3年4月30 日(金)から令和3年6月7日(月)まで公募を行いました。
NICTは、学識経験者で構成される評価委員会の評価等を踏まえ、採択しました。
公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。

本件に関する問い合わせ先

イノベーション推進部門 委託研究推進室
中後 明、近藤 健、遠田 麻衣子

Tel:042-327-6011

E-mail: info-itakuアットマークml.nict.go.jp