NICTは、令和元年度の「情報バリアフリー通信・放送役務提供・開発推進助成金(注)」の助成対象事業を決定しましたので、下記のとおり、その概要をお知らせします。
(注) 身体上の障害のため通信・放送役務を利用するのに支障のある者が、当該通信・放送役務を円滑に利用できるようにすることを目的として、身体障害者の利便の増進に著しく寄与する通信・放送役務を提供し、又は開発する業務を行う民間企業等に対して、その業務に必要な資金の一部を助成するもので、平成13年度から実施しています。

1. 交付決定の状況

助成対象事業の公募に対して6件の申請があり、外部有識者から成る評価委員会の評価を経て、次の6件を交付決定しました(各事業の概要は別紙のとおり)。
 
  事業の名称 事業者名 所在地
1 聴覚障害者向けX線検査支援システム追加機能の手話対応および心臓CT検査支援システムの開発 株式会社アイエスゲート 東京都
2 聴覚障がい者向けライブ字幕サービス 株式会社アイセック・ジャパン 沖縄県
3 障害者用PC/インターネット利用支援ソフトウェアの更新開発とオンライン提供・サポート イデア・フロント株式会社 東京都
4 公的空間に配置されたICタグによる情報伝達網の提供 株式会社コネクトドット 京都府
5 AI翻訳・音声入力技術を活用した手話通訳・多言語翻訳ユニバーサルデザインコールセンターサービス開発 株式会社ビューティフルワンズ 東京都
6 映画・映像・舞台芸術・防災等に対応したクラウド型情報保障サービスの提供 特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンター 東京都
(事業者名は五十音順)

2. 交付決定総額

37,640,000円

3. 関連報道資料

別紙

1
助成対象事業名 「聴覚障害者向けX線検査支援システム追加機能の手話対応および心臓CT検査支援システムの開発」
助成対象事業者 株式会社アイエスゲート
聴覚障害者向けX線検査支援システムの追加機能開発および放射線治療支援システムの開発
【事業イメージ】
【事業概要】
聴覚障がい者の方々が安心してX線検査や放射線治療を受けることができるように、X線検査や放射線治療に関する指示を視認(文字/アニメーション情報等/手話)できる支援システムを開発する。
今年度の開発内容は以下のとおり。
①手話への対応
以下の手話対応を実施
・胃部X線検査の説明動画への手話対応
・がんの放射線治療時のコンテンツへの手話対応
②心臓に関する心臓CT検査への対応
心臓CT検査時の支援システムの開発
2
助成対象事業名 「聴覚障がい者向けライブ字幕サービス」
助成対象事業者 株式会社アイセック・ジャパン

聴覚障がい者向けライブ字幕サービス
【事業イメージ】
【事業概要】
聴覚障がい者のQOLを高めるためのライブ字幕サービスとして、高等教育・講演会・議会のライブ字幕に加え、ローカルTV局のライブ番組にWeb字幕を提供する。
字幕を見る場合は、インターネットにアクセスできる端末(PC、スマホ、タブレットなど)であれば、どこでも字幕を見ることができる。

今までは、すべて人の手によって、正確な字幕提供を行ってきているが、今後はAI(音声認識)を活用したハイブリッドでの字幕提供ができるようにしていくことで、今まで以上にライブ字幕が身近な世界を実現していく。
3
助成対象事業名 「障害者用PC/インターネット利用支援ソフトウェアの更新開発とオンライン提供・サポート」
助成対象事業者 イデア・フロント株式会社
 
障害者用PC/インターネット利用支援ソフトウェアの更新開発とオンライン提供・サポート
【事業イメージ】
【事業概要】
重度肢体不自由者向け支援ソフト「Pete」を最新のウィンドウズ10環境で十全に動作するように改良し、専用ウェブサイトを通じて既存ユーザ向けの更新サポートサービス及び新規利用者向けのソフトウェア提供を行う。
①PC入力・操作支援ソフト「Pete」の更新開発
Windows10やEdgeなどのモダンUIアプリへの入力や操作をPeteから行えるようにする。
②既存ユーザへの更新版Pete提供と移行支援
Peteの既存ユーザにWindows10対応版をPeteの専用サイトで提供。
オンラインや訪問による移行や導入の支援を行う。
③更新版Peteのオンライン提供およびオンラインサポート
新規ユーザ向けのPeteのオンライン有料販売およびオンラインサポートを行う。
4
助成対象事業名 「公的空間に配置されたICタグによる情報伝達網の提供」
助成対象事業者 株式会社コネクトドット
 
文化観光施設における多言語解説タブレット端末貸出サービスの試験運用
【事業イメージ】
【事業概要】
ICタグを公共空間に遍く配置し、情報提供者(例えばショッピング)から受信者(視覚障害者)への音声による情報伝達網を構成することにより、視覚障害者が得られる情報量を増やし、外出意欲や社会参加意欲を向上させる。
視覚障害者向けのコンテンツを登録したICタグを公的空間に配備し、視覚障害者のスマホでICタグの情報を読み取り、音声で読み上げるアプリケーションを提供することで、視覚障害者に対する情報伝達を行う。
5
助成対象事業名 「AI翻訳・音声入力技術を活用した手話通訳・多言語翻訳ユニバーサルデザインコールセンターサービス開発」
助成対象事業者 株式会社ビューティフルワンズ
 
映画・映像・舞台芸術・防災等に対応したクラウド型情報保障サービスの提供
【事業イメージ】
【事業概要】
文化観光施設にて解説情報(字幕、図解、写真など)を表示するタブレット端末を聴覚障害者、外国人観光客、健常者に貸し出すユニバーサルデザインサービスである。
本事業はユニバーサルデザインという特徴を活かし、観光サービス市場も内包させることで、伸び代のある聴覚障害者向けサービスを持続的に提供することを可能にするビジネスモデルである。ここに本事業の有益性がある。
AI翻訳や音声入力技術を活用した手話通訳や多言語翻訳を双方向のコミュニケーションをとりながら実現するコールセンターサービスを追加することで問い合わせなどの業務の省力化を図る。
本サービスは能楽堂などの舞台芸術を中心とした文化観光施設を主なマーケットとしていたが、近年音声ガイドが主流の美術館・博物館・水族館からのニーズもあり、同様のシステムよって文化観光施設全体のユニバーサルデザイン化、バリアフリー化に貢献する。
6
助成対象事業名 「映画・映像・舞台芸術・防災等に対応したクラウド型情報保障サービスの提供」
助成対象事業者 特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンター
 
映画・映像・舞台芸術・防災等に対応したクラウド型情報保障サービスの提供
【事業イメージ】
【事業概要】
DVD・Blu-ray、映画館、博物館、舞台芸術、ホテル等にPCソフトやスマートフォンアプリを使って視覚障害者用音声ガイドや聴覚障害者用字幕等の配信をインターネット上のサーバーから提供するとともに、ソフト開発を行う。
視聴覚障害者に向け、音声透かしや音声解析技術等とスマートフォンアプリ等を使って、音声ガイドや字幕・手話を提供するサービスを行う。
 
配信データ:
視覚障害者用音声ガイド /
聴覚障害者用字幕 / 手話(防災情報含む)
使用端末:
スマートフォン / タブレット端末 /
スマートグラス / PC 等

本件に関する問い合わせ先

デプロイメント推進部門
情報バリアフリー推進室

小林 信喜、武井 康人

Tel: 042-327-6022

E-mail: kakusaアットマークml.nict.go.jp

広報

広報部 報道室

廣田 幸子

Tel: 042-327-6923

E-mail: publicityアットマークnict.go.jp