ポイント

  • NICTの多言語音声翻訳技術が警察庁に採用。全国47都道府県警に端末を配備
  • 公的機関において全国規模で音声翻訳の独自サーバ・アプリが運用されるのは初めて
  • 民生分野に加えて、公的分野におけるNICT音声翻訳技術の、より一層の活用拡大に期待
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、「グローバルコミュニケーション計画」の下、多言語音声翻訳技術の研究開発と社会実装を進めてきました。このたび、本技術が警察庁のシステムに採用され、全国の都道府県警で広く利用されることになりました。
警察庁は、近年の訪日外国人旅行者数の増加を受け、昨年度、独自の音声翻訳サーバを構築し、本技術を用いた多言語音声翻訳機能を「高度警察情報通信基盤システム(PⅢ)」に搭載しました。同システムの端末(スマートフォン及びタブレット)は、全国47都道府県警に合計5万台配備されます。
公的機関が、全国規模でNICTの多言語音声翻訳技術を搭載したサーバ・システムの運用を始めたのは、今回が初めてです。

背景

多言語音声翻訳機能の画面イメージ
多言語音声翻訳機能の画面イメージ
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NICTでは、「グローバルコミュニケーション計画」の下、世界の「言葉の壁」をなくし、グローバルで自由な交流を実現するため、多言語音声翻訳技術の研究開発を推進し、さらに、全国各地で様々な分野での実証実験を行うとともに社会実装を進めてきました。この技術は、無償公開している多言語音声翻訳アプリ“VoiceTra(ボイストラ)”をスマートフォンやタブレットにダウンロードしていただくことにより、体験いただけます。また、この研究開発成果は、民間企業に60件以上ライセンスしており、それらを用いた多数の民間の製品・サービスがリリースされ、広く社会で利用されています。
警察分野の社会実装に向けた取組としては、警察庁等のご協力の下、交番等での対応を想定した用語等を強化し、全国の交番などで広く利用されていました。

今回の成果

NICT開発の技術を用いた多言語音声翻訳機能を搭載したスマートフォン及びタブレットが、全国47都道府県警に合計5万台配備され、利用可能となります。オリンピック・パラリンピック期間中に増加が予想される訪日外国人への地理案内、遺失物等の問合せへの対応等に活用されることが想定されています。これにより、更に安心・安全な社会の実現につながることが期待されます。
公的機関において全国規模でNICTの音声翻訳技術を用いた独自のサーバ・アプリの運用が開始されたのは、初めてのことであり、本技術の精度・信頼性が評価されたものと考えています。
本音声翻訳機能は、日本語と29言語との間の翻訳機能を備えています。また、14言語での音声入力、13言語での音声出力が可能です。

今後の展望

今後は、「グローバルコミュニケーション計画2025」に基づき、総務省及び民間企業とも連携・協力して本技術の更なる発展・高度化に取り組んでいく予定です。中央省庁も含めて更に広く本技術を活用していただけるよう、研究開発及び社会実装を進めていきます。

用語解説

グローバルコミュニケーション計画
総務省は、2014年4月に、世界の「言葉の壁」をなくし、グローバルで自由な交流を実現することを目標とする「グローバルコミュニケーション計画」を発表した。NICTは、この計画を推進するとともに、訪日外国人への対応の充実による観光産業の活性化等の地方創生にも資するため、多言語音声翻訳の対応領域、対応言語を拡大し、翻訳精度を高めるための研究開発を推進してきた。また、産学官の連携により、病院、商業施設、観光地等において社会実証を実施し、多様な事業創出に向けたクラウド型翻訳サービスプラットフォームを確立した。
高度警察情報通信基盤システム
(PⅢ[ポリストリプルアイ]: Police Integrated Info-communication Infrastructure)
スマートフォンやタブレット端末で構成されるシステムで、2019年4月から全国で運用が開始されている。警察が独自に整備・維持管理するシステムで、画像・映像伝送機能、グループ通話機能等を利用することができる。
今回搭載された多言語音声翻訳機能は、日本語と29言語(英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語、ミャンマー語、フランス語、スペイン語、フィリピン語、ブラジルポルトガル語、アラビア語、イタリア語、ウルドゥ語、オランダ語、クメール語、シンハラ語、デンマーク語、ドイツ語、トルコ語、ネパール語、ハンガリー語、ヒンディ語、ポルトガル語、マレー語、モンゴル語、ラーオ語、ロシア語)との間の翻訳機能を備えており、14言語(日本語、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語、ミャンマー語、クメール語、フランス語、スペイン語、フィリピン語、ブラジルポルトガル語)での音声入力及び13言語(音声入力可能な14言語からフィリピン語を除く)の音声出力が可能である。
VoiceTra(ボイストラ)
NICTの研究成果である音声認識・翻訳・音声合成技術を活用して、NICTが開発・提供している社会実証用の多言語音声翻訳アプリ。ダウンロードは無料で、話した内容を外国語に翻訳し、31言語に対応している。18言語の音声入力及び16言語の音声出力が可能である。
NICTの多言語音声翻訳技術を活用した民間の製品・サービス一覧
“VoiceTra”に活用されている多言語音声翻訳技術は、多数の民間企業にライセンスされ、様々な製品・サービスが出てきている。本技術に興味をお持ちの組織、団体の皆様に、これらの利用を検討していただけるよう、まとめた資料を公開している。
グローバルコミュニケーション計画2025
グローバルコミュニケーション計画のこれまでの取組を受けて、総務省は、2020年3月に、2025年に向けた「グローバルコミュニケーション計画2025」を策定、公表した。この計画には、2025年にはAIによる「同時通訳」を実現し、その社会実装を目指すなど、多言語翻訳技術の更なる高度化に向けた研究開発等を推進すべく、産学官が連携・協力して取り組む新たなミッション、ビジョン、目標、行動等の方針がまとめられている。
「グローバルコミュニケーション計画2025」の公表(2020年3月31日、総務省報道資料)

本件に関する問合せ先

先進的音声翻訳研究開発推進センター
企画室

香山 健太郎

Tel: 0774-98-6810

E-mail: ictアットマークkhn.nict.go.jp

広報

広報部 報道室

廣田 幸子

Tel: 042-327-6923

E-mail: publicityアットマークnict.go.jp