国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、2020年11月29日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット43号機で打ち上げた光データ中継衛星に搭載している光衛星間通信システム(LUCAS※1)の光通信機器と光地上局(※2)との間で相互の捕捉・追尾に成功しました。
 
JAXAは、LUCASについて、軌道上の機器の動作確認等のためのチェックアウト作業を実施しています。このチェックアウト作業の一環として、2021年1月27日からNICTの光地上局と衛星上のLUCASとを対向させた試験を開始し、光データ中継衛星との距離が約40,000km離れている同光地上局との間での相互の捕捉・追尾を成功させ、双方向の光リンクが成立したことを確認しました。
 
本試験は、光地上局を今後の光データ中継衛星の実際の通信相手方となる「だいち3号(ALOS-3)」等の低軌道衛星側の光通信機器と見なし、光データ中継衛星と光地上局との間で信号を相互に捕捉し、通信回線維持のために必要な追尾動作を正常に実施できることの確認を目的として実施したものです。
これが順調に行えたことで、LUCASの最重要技術要素である「約40,000km離れたところから直径約0.5kmの範囲にある通信相手を捕捉・追尾する機能/性能」が宇宙空間にて計画通りに性能を発揮していることが確認できました。
 
※ 光データ中継衛星搭載の光衛星間通信システム(LUCAS)における両者の分担
JAXAは、LUCAS(NICTの光地上局に搭載される地上チェックアウト装置を含む)の開発、軌道上運用、及び技術評価を担当しました。
NICTは、光通信に関する専門的知見の提供、光地上局設備の提供・操作、及び追尾性能評価に関する大気の影響等の分析を担当しました。
 
今後のLUCASの運用状況は、JAXAウェブサイトに随時公開する予定です。

JAXAウェブサイト内「光衛星間通信システム(LUCAS)」

※1 LUCAS;Laser Utilizing Communication System
(光データ中継衛星に搭載する光通信機器(図1)、先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)等に搭載する光通信機器、光地上システムからなる。)
※2 NICT沖縄電磁波技術センター内に設置された光通信用の地上局で、NICT所有の光通信用光学望遠鏡(図2)にJAXA開発のLUCAS用チェックアウト装置を組み込んだもの。
図1
図1 光データ中継衛星に搭載している
光通信機器光学部
図2
図2 NICT沖縄電磁波技術センター内の光地上局に設置されている1m光学望遠鏡と
JAXAチェックアウト機器
光データ中継衛星搭載の光通信機器と光地上局との間での光信号の送受信を行った。
参考図
参考図 光地上局側の赤外線カメラで捉えた捕捉・追尾確立前後の 光データ中継衛星からの信号光(受信光)の変化
追尾確立後は、信号光(受信光)が正確に光地上局に向き、受信光の強度が増加していることが分かる。信号光は肉眼では確認できないため、赤外線カメラで撮像した。

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