国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、令和3年4月1日から令和8年3月31日までの5年間の第5期中長期計画を開始しました。
 
NICTは、我が国の持続的発展の原動力であり豊かで安心・安全な社会の実現の基盤となるICT分野の研究開発とその成果の社会展開に向けた取組などを進めています。自然災害や新型コロナウイルス感染症、地球温暖化など顕在化した地球規模の社会的課題へ柔軟に対応し、日本全体を持続可能で強靭な社会へ変革するためには、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速し、サイバー空間とフィジカル空間を融合させることで人間中心の社会を実現するSociety 5.0を実現することが必要不可欠です。
 
第5期中長期計画では、Society 5.0の早期実現に向け、新たなICT技術戦略に基づいた研究開発推進の加速、オープンイノベーション・共創的取組の加速、研究開発成果の社会展開の加速という3つの「加速」を重視した研究開発を推進します。
 
重点的に研究開発を行う分野として、電磁波先進技術分野、革新的ネットワーク分野、サイバーセキュリティ分野、ユニバーサルコミュニケーション分野、フロンティアサイエンス分野の研究開発を進めます。また、各種政府戦略やSociety 5.0の早期実現に向けた次世代ICT基盤に必要不可欠な先端技術として、戦略的に推進すべき研究4領域(Beyond 5G、AI、量子情報通信、サイバーセキュリティ)についても積極的に研究開発を進めます。
 
NICTの組織・運営に関して、Beyond 5G及び量子情報通信技術については、新たに「Beyond 5G研究開発推進ユニット」及び「量子ICT協創センター」を設置します。また、第4期中長期目標・計画期間における運営方針COC(Collaboration Open Mind/Open Innovation Challenger’s Sprit)に、研究開発のDXと業務/組織のDXの強化及びCOC(Computing&Communications for Carbon Neutral)を加え、新しい運営方針「COC2.0」の下で、新たな社会的価値を創出する産学官連携拠点として、分野・組織横断的な研究開発及び研究開発成果の社会展開を強く推し進めてまいります。
 
NICTは、Society 5.0の実現を目指し、国や社会を豊かにしていくための多くのチャレンジに全力で取り組んでまいります。

別紙1

第5期中長期計画の概要

Ⅰ 研究開発成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成するために取るべき措置
1.重点研究開発分野の研究開発等
(1) 電磁波先進技術分野…電磁波伝搬等に影響を与える宇宙環境の乱れを計測・予測し、衛星・航空機等の安定運用に貢献する宇宙環境技術、高精度な時刻及び周波数を安定的に供給・配信する時空標準技術 など
(2) 革新的ネットワーク分野…Beyond 5G時代に対応する多種多様な要求に対応可能なネットワークを実現するフォトニックネットワーク技術、将来の高周波ワイヤレスシステムを実現するためのテラヘルツ波ICTプラットフォーム技術 など
(3) サイバーセキュリティ分野…複雑化するサイバー攻撃に対応した観測・分析・可視化・対策技術、プライバシー保護と計算を両立する秘匿計算技術や量子コンピュータ時代にも安全に利用できる耐量子計算機暗号技術 など
(4) ユニバーサルコミュニケーション分野…文脈や話者の意図、周囲の状況等の多様な情報源を活用した実用レベルの自動同時通訳を実現する多言語コミュニケーション技術、インターネット等に偏在する膨大な知識を取得・類推しユーザの興味や文脈に合わせた対話を実現する社会知コミュニケーション技術 など
(5) フロンティアサイエンス分野…あらゆる計算機で解読不可能な安全性を実現する量子暗号をはじめとする量子情報通信技術、人間の認知・感覚・運動等に関する脳活動を高度かつ多角的に計測・解析しモデル化することで人間能力の向上を支援する脳情報通信技術 など
 
2.分野横断的な研究開発その他の業務
(1) Beyond 5Gの推進
(2) オープンイノベーション創出に向けた産学官連携等の強化
(3) 戦略的・機動的な研究開発ハブの形成によるオープンイノベーションの創出
(4) 知的財産の積極的な取得と活用
(5) 戦略的な標準化活動の推進
(6) 研究開発成果の国際展開の強化
(7) 国土強靭化に向けた取組の推進
(8) 戦略的ICT人材育成
(9) 研究支援業務・事業振興業務等
 
3.機構法第14条第1項第3号、第4号及び第5号の業務
(1) 周波数標準値の設定、標準電波の発射及び標準時の通報
(2) 電波の伝わり方の観測、予報及び異常に関する警報の送信、並びにその他の通報
(3) 無線設備の機器の試験及び較正
 
Ⅱ 業務運営の効率化に関する目標を達成するために取るべき措置
機動的・弾力的な資源配分、調達等の合理化、テレワーク等による働き方改革及び業務の電子化の促進、業務の効率化、組織体制の見直し
 
Ⅲ~Ⅷ 予算計画、不要財産処分計画、その他主務省令で定める業務運営に関する事項

別紙2

組織構成図

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