NICT発技術で現場の課題を解決
時空間同期技術
~高精度時刻同期により新たなソリューションを実現~

時空間同期技術の概要と特徴
時空間同期技術は、次世代情報通信基盤Beyond 5G (6G) が支えるサイバーフィジカルシステム (CPS: Cyber Physical System) において、GNSS (Global Navigation Satellite System) だけに頼らない堅牢かつ柔軟なデバイス間の時刻同期・測位インフラを実現します。
これまでは、GNSS以外では国内でNICTのみが高精度な時系を持ち、ユーザーは個別にNICTに接続して正確な時刻を利活用していましたが、将来ユーザーが高安定な時系をローカルに持つ時代が到来します。そのローカル時系を日本標準時にトレースすれば、協定世界時 (UTC) に準拠した正確な時刻をユーザーが持つことができます。NICTでは、このローカル時系に不可欠な3つの要素技術の開発を進めています。
- スマホやIoT機器に搭載可能な、超小型で高精度な時刻保持を可能とする原子時計チップ (CLIFS:Chip Level Integrated Frequency Standard)
- デバイス間での無線双方向時刻同期を可能とするワイワイ (Wi-Wi:Wireless two-way interferometry)
- 各IoT機器に実装される原子時計を組み合わせてローカル時系を生成するアルゴリズム、クラスター時系 (Cluster clock Infrastructure)
時空間同期技術では、これらを組み合わせ、時刻及び空間を正確に把握することにより、データセンターの時刻同期、スマートファクトリーにおけるロボット等の高精度時刻管理、ドローン・自動運転の高精度測位などのソリューションを実現します。

データセンターの時刻同期
電子商取引などでは正確なタイムスタンプが必要となります。Wi-Wiにより、サーバー間の時刻同期をとることにより、正確なタイムスタンプを提供します。

スマートファクトリーにおけるロボット等の高精度時刻管理
製造機器、生産ライン、IoT機器などの工場全体の状態をセンシングした情報に基づいてモデリング・シミュレーションするためには、高精度な時刻情報の管理が必要です。高速にセンシングしたロボット等の状態をCPS上で正確にシミュレーションすることが可能となり、工場の生産性向上に貢献します。

ドローン・自動運転の高精度測位
運輸・物流などにおいて、高精度測位によるドローン衝突回避および交通機関の安全性向上、CPSでのシミュレーションによる渋滞解消などが可能になります。

