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このプロジェクトでは、すでに普及している無線通信技術を活用してピコ秒精度で時刻を同期するための新しいプラットフォームを開発することを目指しています。

「モノのインターネット」 (IoT) の時代にあって、1 兆を超えるデバイスやセンサーがワイヤレスで通信する未来に向かっています。このような背景から、私たちの研究は、「これらの無線機器の間で高精度な時刻同期を行う方法があったら?」という疑問から始まりました。今日の情報通信技術は、送受信者間で時計が一致していないことを前提として構築されています。

デバイスとサービスの有機的なコラボレーションに向けた Wi-Wi ロードマップ。

私達は時計を同期させる新しい技術として「無線双方向時刻同期」(Wi-Wiまたはワイワイ)技術を開発しています。これは、私たちのグループが長い間最先端の研究に携わってきた衛星双方向時刻周波数転送技術(TWSTFT)を簡略化したものです。 Wi-Wi は衛星通信を用いるのではなく、普通の無線通信機で同じ技術を実現しました。

Wi-Wiモジュールの試作と初期開発

集積回路と水晶振動子の開発の進歩のおかげで、通常の無線通信デバイスのコストでピコ秒レベルで時刻同期を実行できるモジュールを製造できる時代になりました。 このレベルの同期が、今後の通信インフラの改善の鍵になると考えています。 2024年3月現在、Wi-Wiの試作モジュールでは30nsec程度の時刻同期と20psec程度の位相同期(ジッタ—)を達成しています。

Wi-Wiモジュールの継続開発

正確な時刻同期は、位置測定においても重要な役割を果たします。 GPS のようなシステムでは、測位の精度は、衛星の時計がどれだけうまく同期できるかに依存しています。 GPSが使えない環境でも利用できる精密な位置計測システムへの応用研究も進めています。

参考文献

1) S. Yasuda and N. Shiga, 時空間同期によるデバイスの協働, NICT News 494, 6-7 (2022)

2) Y. Yamasaki et al., Delay-Bounded Wireless Network Based on Precise Time Synchronization Using Wireless Two-Way Interferometry, IEEE Access 9, 85084-85100 (2021)

3) B. Panta, K. Kido, S. Yasuda, Y. Hanado, S. Kawamura, H. Hanado, K. Takizawa, M. Inoue and N. Shiga, Distance Variation Monitoring with Wireless Two-way Interferometry (Wi-Wi), Sens. Mater. 31(7), 2313-2321 (2019)

4) S. Yasuda, R. Ichikawa, Y. Hanado, S. Kawamura, H. Hanado, H. Iwai, K. Namba, Y. Okamoto, K. Fukunaga, T. Iguchi and N. Shiga, Horizontal atmospheric delay measurement using wireless two-way interferometry (Wi-Wi), Radio Science 54, 572-579 (2019)

5) N. Shiga, K. Kido, S. Yasuda, B. Patna, Y. Hanado, S. Kawamura, H. Hanado, K. Takizawa and M. Inoue, Demonstration of wireless two-way interferometry (Wi-Wi), IEICE Communications Express 6(2), 77-82 (2017)

6) N. Shiga and Y. Hashimoto, 新技術説明会資料, Japanese presentation material available at shingi.jst.go.jp/pdf/2016/2016_kisoken1_3.pdf (2016)

7) 「「ワイワイって何?」YouTubeの動画プレイリスト