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NICTではネットワークタイムプロトコル(NTP)を利用してインターネットで日本標準時を配信しています。

NTPサーバ: ntp.nict.jp

このサーバはNICTの日本標準時信号に直結していますが、サーバ・ユーザ間のインターネット環境によって、受信するタイミング情報には誤差が生じる可能性があります。そのため、現在のインターネット環境では利用時の時刻精度を保証できない点について、ご了承ください。誤差の値は、サーバ設定やトラフィックに応じて日本標準時と数ミリ秒から数百ミリ秒まで変化します。

NTPサーバご利用の際のOSの設定方法については、以下をご覧ください。このページではお問い合わせ先も掲載しています。

よくあるご質問(FAQ)

サービス概要

NTPはネットワーク上の時刻伝送において最も広く使われている方法で、インターネットに接続された多くのシステムや機器で正確な時刻を参照するために使用されています。NTPの最初のバージョンは1985年以前に開発されたもので、NTPは現在最も古いインターネットプロトコルの一つです。NTP Version 4は2010年に標準化された最新バージョンです。NICTのNTPサービスは、現在version 2以降の全バージョンをサポートしています。

ユビキタスな情報通信社会が実現した現在、多くの機器がインターネットに接続されています。このため、NICTのNTPサーバは多くのリクエストを処理しています。リクエストの回数は、2019年には最大で毎秒5万回、1日あたり70億回に達しています[1]

2019年7月に記録された1秒あたりのNTPリクエスト数

負荷・セキュリティ対策が施された高精度・高信頼性サーバ

このようなリクエストに対応するため、NICTでは独自にサーバを開発しています。このサーバは日本標準時の信頼性を確保するために冗長構成としており、時計と同程度に管理された環境で運用されています。NICT本部(東京都小金井市)に設置されたサーバに加えて、2020年からは兵庫県神戸市の日本標準時神戸副局でも新たなサーバが稼働を開始しました。NTPサーバを従来どおり「ntp.nict.jp」に設定しておけば、神戸副局から配信される代替の時刻も自動で受信できます。

NICTのFPGA型スタンドアロンNTPサーバ

NICTのNTPサーバは全てFPGAで実装されており、負荷が上昇しても精度が低下することはありません[2]。最新のスタンドアロンNTPサーバには複数の時刻源を参照する自己監視機能があり、ホストPCなしでも自動で初期化できます。単一の機能しか持たないハードウエアのため、ハッキングやソフトウェアによる侵入は不可能です。

NICTに設置されたNTPサーバは、日本標準時に直結しています。これはNTPの専門用語における「stratum 1」のシステムに相当します。処理能力は毎秒100万リクエスト以上です。時刻精度は日本標準時から10ナノ秒以内であり、クライアントの時刻精度はネットワークからの影響のみによって制限されます。クライアント・NTPサーバ間の対称的な往復遅延はNTPによって除去されますが、待ち行列の遅延や非対称な往復経路からの影響は完全に補正することができません。

参考資料

1) H. Saito, T. Iwama, K. Imamura, N. Kotake, H. Usui and H. Narita Standard Time Services for the Internet Society 情報通信研究機構研究報告 (NICT Research Report) 65(2): 時空標準技術特集 39-44 (2019)

2) A. Machizawa, NICT Public NTP Service — The Highest Throughput Capacity in the World — NICT News 2006(10) 3-4 (2006)

さらにご興味のある方向けの資料

A. Machizawa, T. Iwama and H. Toriyama Packet Arrival Interval (PAI)-Based Time Synchronization Electronics and Communications in Japan, Part I, Vol.90(11) (2007)

町澤朗彦、岩間司、鳥山裕史 ネットワーク時空情報サーバと動的ユーザランド時刻クライアントの開発 電子情 報通信学会論文誌, vol.J90-D(6) 1394-1402 (2007)

岩間司、金子明弘、町澤朗彦、鳥山裕史 高速ネットワークを利用した高精度時刻比較 - Precise Estimation of High-Speed Network Time-Transfer 電子情報通信学会論文誌, vol.J89-D(12) 2553-2563 (2006)
©2006 IEICE 許諾番号:07RB0120

鳥山裕史、町澤朗彦、岩間司 ハードウエアSNTPサーバの開発 - Development of a Hardware SNTP Server 電子情報通信学会論文誌, vol.J89-B(10) 1867-1873 (2006)
©2006 IEICE 許諾番号:07RB0121

町澤朗彦、岩間司、鳥山裕史 毎正秒パケット到着間隔(PAI)に基づいた時刻同期方式 - Packet Arrival Interval (PAI) Based Time Synchronization 電子情報通信学会論文誌, vol.J89-B(10) 1855-1866 (2006)
©2006 IEICE 許諾番号:07RB0122

町澤朗彦、鳥山裕史、岩間司、金子明弘 通過型高精度UDPタイムスタンパの開発 - Development of a Cascadable Passing Through Precision UDP Time-Stamping Device 電子情報通信学会論文誌, vol.J88-B(10) 2002-2011 (2005)
©2005 IEICE 許諾番号:07RB0123

北口善明、町澤朗彦、鶴正人、尾家祐二、箱崎勝也 パケット自己消滅手法によるネットワーク時刻同期精度の向上 - The Advanced Network Time Synchronous System by Self-discarding Packet Technique 情報処理学会論文誌, 46(4) 1017-1024 (2005)

北口善明、町澤朗彦、箱崎勝也、中川晋一 高精度時刻 PC による片道遅延時間によるネットワーク帯域推定手法 - The Network Bandwidth Measurement Based on One-Way Delay Using a High-Precicion PC 電子情報通信学会論文誌, vol.J87-B(10), 1696-1703 (2004)
©2004 IEICE 許諾番号:07RB0124

町澤朗彦、北口善明 割込みハンドラと高精度PCによるソフトウェアタイムスタンプの精度改善 - Improvement of Software Timestamp Accuracy with Interrupt Handler and High Precision PC 電子情報通信学会論文誌, vol.J87-B(10), 1678-1685 (2004)
©2004 IEICE 許諾番号:07RB0125

T. Iwama, A. Kaneko, A. Machizawa and H. Toriyama Real-Time Measurement of One-Way Delay in the Internet Environment Proc. ATF2004, No.TD-5 (2004)

Y. Kitaguchi, A. Machizawa, M. Tsuru, H. Fukuoka and K. Hakozaki Research of advanced time synchronous system with network support Proc. 2003 IEEE Pacific Rim Conference on Communications, Computers and Signal Processing (PACRIM'03) 1036-1039, Victoria (2003)

今村國康、後藤忠広、金子明弘、今江理人、栗原則幸 ネットワークによる日本標準時供給システム 第1回情報科学技術フォーラム (FIT2002)

T. Gotoh, K. Imamura and A. Kaneko Improvement of NTP Time Offset under the Asymmetric Network with Double Packet Method Conf. Precision Electromagnetic Measurements, Ottawa (2002)

H. Okazawa, A. Machizawa, S. Nakagawa, Y. Kitaguchi, T. Asami and A. Ito Advanced NTP Synchronization Device for Internet Monitoring Tools Proc. INET2001, Stockholm (2001)
via web.archive.org

A. Machizawa, K. Sugiura, T. Komine, H. Okazawa, S. Nakagawa and S. Uetsuki On the Delay and Quality of DV Transmissions Systems using ATM Networks Proc. 15th International Conference on Information Networking (ICOIN-15), 709-713, Beppu (2001)

後藤忠広、今村國康、金子明弘、関戸衛、川合英治 NTP 高精度化のためのネットワーク遅延補正 - Compensation of Network Round Trip Delay for High Precision NTP 2001年信学会総合全国大会 (2001)

K. Imamura, A. Kaneko, M. Imae, N. Kurihara and T. Gotoh The UTC(CRL) time dissemination server by Network Time Protocol (NTP) Proc. of the ATF 2000, Tokyo, p. 263 (2000)

後藤忠広、今村國康、森川容雄、深瀬弘恭 NTP Stratum 1 Server の性能評価 1996年信学会総合全国大会, no.B-194 (1996)

後藤忠広、今村國康、森川容雄、深瀬弘恭 NTPによる時刻の供給 1995年信学会総合全国大会, no.D-240 (1995)

T. Gotoh and K. Imamura Development of the UTC(CRL) time dissemination server for the computer network Proc. of the 9th European Frequency and Time Forum (EFTF), Besancon, p. 314 (1995)

後藤忠広、今村國康 ネットワーク計算機の協定世界時(UTC)への同期 - UTC Time Distribution via Network Time Protocol 1993年信学会総合全国大会, no. B-722 (1993)