タイムビジネス
-電子時刻認証-
「タイムビジネス」とは、デジタル社会の安全・信頼性を確保するために必要な時刻配信業務及び時刻認証業務を指します。
民間企業等から法令により紙での保存が義務付けられている文書等の電子保存への移行が強く要望された結果、「電子文書法」[1]が2005年4月に施行されました。これにより存在時刻及び改ざんされていないことを示すタイムスタンプを押印することにより、法令により保存が義務付けられている文書等を電磁的に記録することが容認されました。
こうした社会のニーズに応えるため、当機構では、2005年2月から[2]「日本標準時(JST)」を使いやすい形で配信しており、この時刻情報に基づいて発行されるタイムスタンプは、当初は任意団体を通じて認証されていましたが、国外特に欧州の動きに合わせて、2021年7月から総務大臣による「時刻認証業務の認定制度」がスタートしました。
このシステムでは、当機構がNTA(National Time Authority)の役割を果たし、日本標準時とその基盤となるUTC(NICT)を時刻認証業務提供者に提供しています。UTC(NICT)の提供には、当機構が供給しているタイムビジネス用Webページ、標準電波(JJY)、テレホンJJY、 光テレホンJJY、GPSコモンビュー法 及び専用線NTPが利用され、各提供者は、日本標準時との差が1秒以内に収まるように自身のタイムスケールを維持し、利用者に提供されたタイムスタンプを日本標準時(JST)まで追跡できるシステムを構築しています。
当機構ではこのトレーサビリティチェーンの各ステップが注意深く検討され、信頼できるものであることを保証する仕組みの標準化を推進してきており、その結果、国内および国際的な産業標準JIS X 5094やISO/IEC 18144[3,4]が制定されました。
タイムビジネス用ポリシ
当機構は、国家時刻標準機関(NTA)としてタイムビジネスの分野で多くのサービスを提供しています。これらの各サービスのポリシを、サービスに割り当てられた一意のオブジェクト識別子(OID)とともに次に示します。
時刻比較データ(GPS-CVデータ)公開ポリシ
OID: 0.2.440.200168.1.1.1
(ダウンロード)
その他の情報
ポータブルクロック運用ポリシ
OID: 0.2.440.200168.1.1.2 (ダウンロード)
NTP運用ポリシ
OID: 0.2.440.200168.1.1.3
(ダウンロード)
運用報告
テレホンJJY及び光テレホンJJY運用ポリシ
OID: 0.2.440.200168.1.1.4
(ダウンロード)
運用報告
標準電波運用ポリシ
OID: 0.2.440.200168.1.1.5
(ダウンロード)
運用報告
これらのサービスの提供を担当するのは、情報通信研究機構電波研究所電磁波標準研究センター時空標準研究室です。非常時及び不具合発生の場合の責任の免除については、こちらの声明をご覧ください。
問合せ先
: jst-service | |
電話番号 | : 042-327-6985 |
問合せ等への対応時間 平日 8:30-17:00(12時-13時、及び土祝休日、12月28日-1月3日を除く)に限る。
GPSコモンビュー法による時刻比較
全地球航法衛星システムの衛星によって放送される時刻信号の観測により行われます。
観測値を比較することにより、同時に複数のサイトの時刻同期を行うことができます。この方法では、通常、インターネットを使用して観測データを共有しますが、広帯域幅や低遅延の接続は必要ありません。コモンビュー(CV)法は、時刻同期する2つのサイトが十分に近く、事前に計画されたスケジュールに従って同じ衛星を同時に観測できる場合に使用されます。
OID: 0.2.440.200168.1.1.1の一部として、当機構は毎日のGPS衛星の観測結果をここに公開しています
関連する他の情報
速報データは1時間ごとに更新されます。
ネットワークによる時刻情報提供サービス(専用線NTPサービス)
NTPによって当機構が配信する時刻情報にアクセスする必要があるが、公衆インターネットを介してアクセスしたくないユーザのために、専用線NTPサービスが利用可能です。なお、専用線NTPサービスは、公的機関、時刻認証業務提供事業者、及びインターネット関連事業者等の法人を対象としています。
専用線NTPサービスでは、当機構とユーザのサイト間に専用の通信回線を敷設することにより、当機構のStratum 1 NTPサーバとユーザ側のStratum 2 NTPサーバを直接接続します。専用線NTPサービスを利用するユーザは、必要な機器を用意し当機構内に設置するとともに、通信回線の費用を負担する必要があります。利用申請は、毎年度3月末、6月末、9月末、12月末毎に受付を締め切り、内容を審査の上、当機構と契約を締結する必要があります。
関連文書
- ネットワークによる時刻提供サービス利用手引き
ダウンロード (PDF) - 以下の書類一式
・ネットワークによる時刻提供サービス利用申請書
・ネットワークによる時刻提供サービス接続先情報シート
・ネットワークによる時刻提供サービス設備基準
・ネットワークによる時刻提供サービス契約書
ダウンロード (PDF) - 年次報告書
ダウンロード (PDF)
問合せ
ご質問等は、jst-serviceにお問い合わせください。
参考文献
1) 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律 (elaws.e-gov.go.jp)で閲覧可能
2) 齊藤 春夫, 日本標準時とタイムビジネス, NICT News 344, 3 (2004)
3) 岩間 司, 齊藤 春夫, 町澤 朗彦, 鳥山 裕史, 日本のタイムビジネスの動向, 情報通信研究機構研究報告 56, 65 (2010)
4) 岩間 司, 日本のタイムスタンプの仕組みを世界に輸出, NICT News 394, 1 (2010)