国立研究開発法人情報通信研究機構(本部:東京都小金井市、理事長:徳田英幸)は、特定非営利活動法人太陽放射コンソーシアム(事務局:千葉県千葉市、代表:中島映至氏)、株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長:草開千仁氏)と共同で進める「先端情報通信技術によるリアルタイムひまわりデータ可視化アプリ」の取り組みが「第4回宇宙開発利用大賞」*1 国土交通大臣賞を受賞したことをお知らせします。
本事例は、ひまわり衛星の全データをリアルタイムに公開する取り組み、およびそれを実現する技術の社会貢献度の高さが、世界的に見ても先進的であることが高く評価されました。また、大型台風接近時のアクセス数が50万を超えており、東南アジアなど海外からのアクセスが50%を超えていることから、台風時に求められる国内外のニーズは非常に高く、社会実装には大きな効果が期待されています。
  情報通信研究機構では先端的情報通信技術および可視化技術を活用して、世界に先駆けて気象衛星データをすべてリアルタイム可視化し、高速ネットワークにより国内及び海外に伝送する技術開発に成功し、Web公開することでその実用性を示してきました。
ウェザーニューズは、この技術の有用性を実証するため、2019年にお盆休みを直撃した台風10号などの台風接近時にインターネット番組「ウェザーニュースLiVE」やスマホアプリ「ウェザーニュース」などでひまわり画像を活用し、天気予報としては理想的なリアルタイムのデータを用いた番組やニュース記事の配信を行いました。
今後は、産学官での事業化や新しいサービスの社会実装を目指します。まずは、天気図や台風情報をひまわり画像に重ねることで、気象現象をインターネット上で重ね合わせて確認できるよう準備を進めています。本技術の活用の幅を率先して広げることで、宇宙開発利用市場の拡大や産業、生活、行政の高度化および効率化に貢献してまいります。
*1 宇宙開発利用大賞は、宇宙開発利用の推進において大きな成果を収める、先導的な取り組みを行う等、宇宙開発利用の推進に多大な貢献をした優れた成功事例に関し、その功績をたたえることにより、我が国の宇宙開発利用の更なる進展や宇宙開発利用に対する国民の認識と理解の醸成に寄与することを目的とした表彰制度です。

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衛星の全データをリアルタイムに公開する「ひまわりリアルタイム」

ひまわりリアルタイム
ひまわりリアルタイム
ひまわりリアルタイムは、特定非営利活動法人太陽放射コンソーシアムが公開しています。ひまわり衛星の全ての観測画像と動画像を最短で10分以内にインターネットで公開することで、誰でも「現在の地球の様子」をPCやスマートフォン上で閲覧できるコンテンツです。世界的に見ても、衛星観測全チャンネルデータをフル解像度で観測直後にインターネット上で国内外に一般公開する事例はあまりありません。
アクセス数は毎年数10万単位で増加しており、2019年は300万PVを超え、大型台風接近時には50万PVを記録しました。また、近年は海外からのアクセスが50%を超えており、特に一刻も早い気象情報を求めるアジア諸国のニーズが現れています。
ひまわりリアルタイムは、個人への情報提供だけではなく、気象予報、報道、教育、インターネットなど幅広い分野でご利用いただけます。ウェザーニューズは、ひまわりリアルタイムの社会実装に向けて、ウェザーニューズが運営する気象情報専門チャンネル「ウェザーニュースLiVE」の気象解説や、スマホアプリ「ウェザーニュース」で配信している「お天気ニュースCh.」の記事などで実証利用を行っています。例えば、ひまわりリアルタイムをクロマキー処理することで、気象予報士が画面を用いて気象を解説することも可能です。一般的なテレビの「天気予報」と異なり番組内でリアルタイム画像を利用することで、天気予報としては理想的な最新ひまわり画像を用いた番組を実現することができます。
このアプリケーションは時系列スケーラブル可視化技術*2 高速データ伝送技術*3 の2つの先端的情報通信技術(ICT)を活用することで実現しました。今後は、この技術を横展開し、産学官での事業化や社会での新しいサービス実装を目指します。現在は、ひまわりリアルタイム上に天気図や台風情報をオーバーレイすることで、様々な気象現象をひまわりリアルタイムWeb上で重ね合わせて確認する機能を準備しています。
*2 時系列スケーラブル可視化技術: 時系列ピラミッドタイル画像を高速可視化表示するJavaScriptを独自開発し、ひまわりリアルタイムで利用すると同時に無償公開している(http://k2go.jp/public)。
*3 高速データ伝送技術: クレアリンクテクノロジー社および京都大学との協力のもと独自開発の高速データ通信プロトコルHpFPを開発。ピラミッドタイル画像のようにファイルサイズが小さくファイル数の大きなデータセットの高速転送に適しており、JAXAや気象庁においても採用されている。