生命の遺伝情報継承に重要な相同染色体対合を促進する仕組みを発見
~染色体異常に起因するダウン症や流産など将来における原因解明へ期待~
2019年12月10日
国立研究開発法人情報通信研究機構
国立大学法人大阪大学
ポイント
- 生物の遺伝に重要な相同染色体の対合に関与する新たな遺伝子領域と結合するタンパク質を発見
- 液‐液相分離という物理的現象が相同染色体の相互認識と対合の促進に重要であることを発見
- 遺伝情報伝達の仕組み解明に大きく前進、ダウン症などの染色体異常の原因解明に期待
背景
![図1 NICTのイメージング技術によって観察された相同染色体(緑色)をつなぐ長鎖非コードRNA(lncRNA)(赤色)液滴の様子 図1 NICTのイメージング技術によって観察された相同染色体(緑色)をつなぐ長鎖非コードRNA(lncRNA)(赤色)液滴の様子](img/20191210-01.png)
今回の成果
![図2 Smpタンパク質(白い点)が、sme2領域及び新たに発見した高度に対合する染色体領域A55領域とC24領域に集積する様子 図2 Smpタンパク質(白い点)が、sme2領域及び新たに発見した高度に対合する染色体領域A55領域とC24領域に集積する様子](img/20191210-02.png)
![図3 LLPSで形成された長鎖非コードRNA(lncRNA)とSmpタンパク質の液滴によって相同染色体の相互認識が果たされる 図3 LLPSで形成された長鎖非コードRNA(lncRNA)とSmpタンパク質の液滴によって相同染色体の相互認識が果たされる](img/20191210-03.jpg)
今後の展望
論文情報
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用語解説
![](img/20191210-04.png)
![液‐液相分離の原理の模式図 液‐液相分離の原理の模式図](img/20191210-05.png)
左図は緑色の粒(生体分子)が分散して存在する状態を示すのに対して、右図は、液‐液相分離(高集積化した生体分子と周りの液体成分が2相に分離する)により、緑色の粒が集合して大きな塊(構造体)を形成している。この塊の中では、分散した溶液では起こらない反応が起こることが知られている。
![](img/20191210-06.png)
https://www2.nict.go.jp/frontier/seibutsu/CellMagic/gfplibsum.htm
本件に関する問い合わせ先
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廣田 幸子
Tel: 042-327-6923
E-mail:
国立大学法人大阪大学
生命機能研究科 庶務係
Tel: 06-6879-4692
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