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令和4年度委託研究終了評価結果(概要)
採択
番号
研究開発課題名 研究
期間
(年度)
受託者
(◎印:代表研究者)
総合コメント 総合
評価
202A01 超長期セキュア秘密分散保管システム技術の研究開発
課題A 物理乱数源の研究開発

副題:秘密分散の基盤となる小型・高速・安全な物理乱数源の開発とシステム総合評価
H30

R4
◎株式会社 ワイ・デー・ケー
用途に合わせた3種類の形態についてそれぞれ製品に近いプロトタイプが得られている。短期間の研究開発でこのような成果物が得られたことから、費用対効果は優れていると言える。
当初計画の目標はほぼ達成され、残りについても検討が進んでいる。高速物理乱数生成装置はQKD向け乱数生成性能5Gbps版の製品化に向けた計画が始まっており、高速な量子暗号装置の実現に寄与することが期待される。高速かつ高品質な物理乱数源は量子セキュアクラウド実現に不可欠な要素の一つであり、今後の社会実装に期待したい。
A
20301 マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発

副題:標準クラッド径マルチコアファイバ伝送路技術の確立
H30

R4
◎日本電信電話株式会社
標準クラッド径マルチコア光ファイバ(MCF)伝送路の構築に必須な技術を網羅的に開発する研究計画であり、MCF製造技術・MCF伝送路技術・MCF周辺技術の三つの要素を国内のトップメーカーである複数企業が参画して実施する体制になっている。MCF製造技術については各企業の技術・ノウハウを加味して複数のアプローチで検討することにより技術確立を目指すとともに、ケーブル・周辺技術では検討を分担してMCF実用化に必須となる技術確立を推進し、標準化活動ではAll-Japanで連携して提案・議論を進めてきている。目標を上回る2000km・コア超級の高品質MCF製造技術を確立し、簡易なSI型屈折率分布を用いた標準クラッド径MCFの適用性を示すとともに、TA型およびSI型MCFが同等のコア間隔で設計可能であることを世界に先駆け実証している。特許・論文等も最終目標を大きく上回っており、十二分に研究開発目標を達成しているものと評価する。実用展開及び標準化を見据え、各企業が連携して技術を確立しているとともに、ITU-TにおいてSDM技術に関する新規技術レポートの制定を日本寄書として提案し、2022年9月に発行している。これを将来のSDMファイバの国際標準化に向けた橋頭堡とし、実用化に向けた今後のさらなる取り組みを期待する。
S
株式会社KDDI総合研究所
住友電気工業株式会社
株式会社フジクラ
古河電気工業株式会社
20601 5G・Beyond 5Gの多様なサービスに対応する有線・無線アクセスネットワークのプラットフォーム技術の研究開発

副題:5G・Beyond 5Gの多様なサービスに対応する有線・無線アクセスネットワークの仮想化とエッジクラウド基盤技術の研究開発
H30

R4
◎富士通株式会社
論文などの学術的成果のみならずプロダクトが生み出されており、期待どおりの成果が得られていると判断される。また、オープンソース活動では期待を超える成果が得られている。
クラウドの技術トレンドを捉えて、ソフトウェアによるパケット処理技術に注力しているという点で評価できる。
当初計画に対し、成果としては十分なものが得られていると判断される。ただ、時代の流れに即して、研究開発を柔軟に軌道修正していくことは重要なので、今後、本研究をさらに展開するにあたっては、研究開発の流れの柔軟性強化を図っていくとともに、技術の流れを柔軟に構築するための戦略策定を強化することを期待する。
A
国立大学法人福井大学
20901 BMIオープンイノベーションのための脳活動マルチモーダル計測データの解析とその応用技術の研究開発

副題:Ready-to-Use非侵襲高パフォーマンスBMIのためのキャップ型脳波-脳磁図同時計測法と脳モデルと人工知能を用いたデータ生成技術の開発
H30

R4
◎株式会社国際電気通信基礎技術研究所
実用的BMI開発がここの目的ではなく、それに必要な基礎技術の開発が目標であったと考えるならば、大きな研究成果と費用対効果であったということができよう。特に、新しい磁場測定実験環境を試行錯誤しながら作り上げていった勇気と努力には敬意を表したい。また、それによって見出された問題点の発見も意味があると思われる。しかし、この技術が、将来問題を克服して実用的なBMIの主流になり得るかについては検討が必要であろう。そのためにも、より詳細なデータ取得のための検証実験を行う必要がある。今回の研究で、データやソフトウエアのオープンソース化、機器の共同利用などを実施、更なる検討をしていることは評価できる。
S
22001 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:AI・IoTを活用した北海道における次世代施設栽培の確立
R2

R4
◎国立大学法人室蘭工業大学
収量予測の2週間後平均誤差10%との高い目標値を設定し、複数のモデルを適用してトマトの特徴を生かした特徴量を提案するなどの工夫により20%を達成したことは評価できる。栽培管理についても、栽培管理者補助のためのトマト木状態を動画から予測するための葉面積指数予測やトマト果実色モデルの設定などの工夫により上記収量予測に寄与している。目標達成に向けた軌道修正や様々なモデルを設定するなどアプローチに工夫が見られ投下した研究経費に見合った成果が得られていると考える。
様々なモデルや計測データを応用したエキスパートシステムの構築を目指しているが、トマト一つ考えても品種の違いによる異なる結果が生じている。更に、環境の異なる他の農園への適用に向けてはまだ解決すべき課題がある。
A
エアウォーター株式会社
22002 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:人や様々なモノの接点を検知するイメージセンサネットワーク基盤の構築
R2

R4
◎学校法人芝浦工業大学
イメージセンサを用いたセンサーネットワーク基盤について、データの目利きによる重要度を用いたデータ通信制御技術、エッジにおけるデータ高速処理技術、セキュリティの観点でブロックチェーンを用いる際にリアルタイム性を確保するためのデータ登録技術、データアクセス制御技術など多岐に渡る課題を実施し、当初の計画を上回る成果をあげていることは大いに評価できる。実証型研究として、京都市の10地点でのデータ取得や、京都-豊洲間のブロックチェーンリアルタイム性実証実験など、ステークホルダーとの調整を機動力をもって解決し、成果をあげたことを評価したい。ハッカソンやアイデアソンなどにより、多くの連携先を発掘する活動を展開するなど、プロジェクト終了後もこのプロジェクト成果をコアとして今後の展開に期待できる。
S
株式会社エクサウィザーズ
22003 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:個人別熱中症リスク情報見える化システムの研究開発〜埼玉県熊谷市における効果検証〜
R2

R4
◎凸版印刷株式会社
熱中症の新たな指標を開発した点や、自治体との強い協力関係で貴重なデータ取得を実現している点は極めて高く評価できる。今後、個人別熱中症リスク情報見える化システムが改良され、実用化され、普及することを期待する。
通信技術の新規性については物足りなさもあるものの、データ利活用、社会課題の解決という点でそれを上回る成果が上がったものと考える。
S
学校法人東京理科大学
22004 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:情報銀行による匿名化データサービスと地域永続化実証
R2

R4
◎学校法人慶應義塾
本研究開発案件は直接目に見えるサービスというよりもインフラとして数多くのサービスを支える技術を開発し、実証しているものであり、純粋な研究としても、社会実装に向けた先行開発的な取り組みとしても高度なレベルにある。
一方で、本研究開発の対象であるはずの情報銀行と、開発された技術の関係が薄い実証による評価となってしまったのが残念である。
A
フェリカポケットマーケティング株式会社
22005 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:大規模位置データ連携による観光施策立案評価システムの研究開発
R2

R4
◎国立大学法人九州大学
コロナ禍の影響により計画が当初予定通りに進められなかったというやむを得ない事情もあるが、当初計画された目標が達成できていないことは、計画上問題があったと思われる。ただし、この研究開発により開発された人流を可視化するシステムは実用化され、複数の自治体に利用されており、社会的にインパクトのある成果であり、今後の普及も見込まれ大いに評価できる成果となった。これは、予算規模に対して得られた成果という視点では十分な成果があがったものと判断できる。
一方で、商用化する事業者が当初からメンバとして加わった形で進められているため、今後、同社のサービスを超えて全国で使われる技術及びその波及効果についてはやや懸念がある。要素技術に関し、オープン化などによる広く波及させるような取り組みに期待したい。
A
株式会社ブログウォッチャー
国立大学法人九州工業大学
22006 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:未来型住宅団地におけるサービス連携プラットフォーム
R2

R4
◎学校法人東洋大学
実際に多くの組織、人を巻き込んだ実証実験を行い、地元との協力関係も良好で、現実に近い形の実装が行われており、費用に対する成果としては申し分ない。サービスプラットフォームの今後の発展として、教育課程の構築も別途行われており、デファクトとして普及する可能性を秘めた十分な成果となっている。実動したサービスプラットフォームとして、サービス提供側の地域住民からの生の声が聞けたことは他へのスマートシティ・プラットフォームへの波及効果という意味で有効なものがある。作成されたビデオコンテンツなどは、NICTからの委託研究の成果の一つとして今後公開されることを期待する。
S
株式会社横須賀テレコムリサーチパーク
22007 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:被災地域における医療救護活動のデータ共有と組織間連携に関する研究開発
R2

R4
◎株式会社スペースタイムエンジニアリング
当初の狙いである救護活動データ共有・連携システムと意思決定支援機能の実現、そして高知県香南市等の複数地域での組織間データ連携・利活用と訓練により研究成果は得られており、その費用対効果は十分高いと考える。
本提案は、ダイハードネットワークを前提にした情報共有やシステム連携を前提にしている。一方、世の中では様々な汎用的な技術もあり、それらが使えない状況下での検討という限られた条件であるのが心配である。しかし、それら汎用システムが使えない環境もあることから必要な研究でもあると考えられる。高知県香南市と徳島県?牟岐町に絞ってシステム開発が行われている印象を受けるが、DMATとの連携にも配慮している点は評価できる。DMATと情報共有可能になれば本提案の波及効果が一段と上がるものと考えられ今後の活動に期待したい。
A
国立大学法人九州工業大学
22008 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:バーチャル物見櫓(V-THUNDERBIRDs)- 災害発生地域における緊急事態対応に必要な情報収集・共有システム -
R2

R4
◎一般社団法人先端空間情報技術評価支援センター
当初の狙いである高機能高価版の2機のドローン方式と、当初の計画には無かった普及版のドローン1機を用いた方式の2パターンを実現し、実証実験を進めながら具体的な評価データを示している。研究成果と費用対効果は十分高いと考える。
2機のドローンが取得する斜めステレオ写真を用いて被災状況とその位置を地図情報としてGISソフト上の地図データに正確に反映させることを狙いとした当初目的に加えドローン1機による簡易な方式も実現するなど、本研究の目標を十分達成しているものと考える。すでに各地域にドローンが配備されていることを考えると、本システムの波及効果が大きいと期待される。
A
御殿場市
国立大学法人千葉大学
22009 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:JGNと5Gを用いた遠隔地手術データ連携とAI解析による地域間医療技術の高水準化のための研究開発
R2

R4
◎公立大学法人公立はこだて未来大学
リアルタイムにAI解析可能な共通プラットフォームを構築し、東京と函館間を結んだネットワーク上で動作させ、実証実験を進めながら具体的な評価データを示している。実証実験により得られた手術動画などの遅延などを医療専門家の立場から評価するなど今後の開発の参考になる。本研究の成果は、今後の地域間医療技術の高水準化に向けた研究開発に有益であり充分な費用効果があると考える。
本研究開発は、東京と函館の2拠点間のネットワークのみの実証実験であり、汎用的なシステム構築に向けては複数地点に設置されたHyperSCOTを接続したネットワーク環境の実証実験が必要と考える。AIを用いた手術工程解析や画像解析など、実用化に向けては、更なるデータの蓄積やAI研究者を巻き込んだ臨床研究が必要であると考える。
A
学校法人東京女子医科大学
22010 データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)

副題:山間過疎地を対象とした高齢者向け屋内外包括見守りシステムに関する研究開発
R2

R4
◎国立大学法人名古屋工業大学
新城市及び市民などの協力のもとでデバイスの開発からネットワークを利用した実証実験まで計画どおり進めている。投入した研究経費に見合った幾つかのデバイスが開発されており、これらのデバイスは、屋内外を含めた安価なネットワーク構築を可能としている。また、本デバイスやネットワークを利用する幾つかのアプリケーションへの応用も想定されることから、充分な費用効果があると考える。
本デバイスやネットワークを利用する幾つかのアプリケーションへの応用も想定されるが、本研究で目標としている老人の徘徊を早期に発見するには至っていない。アプリケーションの開発のためには、今後、それぞれの応用分野の専門家を巻き込んだ体制が必要であると考える。
A
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
222A01 ウイルス等感染症対策に資する情報通信技術の研究開発
課題A ウイルス等感染症により発生するパンデミック対策に資するICT

副題:IoT無線制御技術と除菌ロボットを用いた最適除菌ルート制御と除菌効果の可視化による除菌自動化システム
R3

R4
◎アンドロボティクス株式会社
病院等公共施設でのロボットを用いた除染/感染予防は急務であり、その方向の研究開発を行ったことは理解できる。実証実験を行えるレベルのシステムを開発した点では、一定の成果を得たと評価する。しかし、今回の委託研究では、コロナ禍において即応性のあるシステム開発を期待していたのに対して、得られた成果は研究開発の域を超えられなかったことから、費用対効果や社会的波及効果は限定的であった。今後は、個々に行ってきた要素技術をベースに効率的な除菌ロボット統合システムの開発を進めてほしい。
B
ユニトライク株式会社
学校法人東京理科大学
医療法人桂水会
222A02 ウイルス等感染症対策に資する情報通信技術の研究開発
課題A ウイルス等感染症により発生するパンデミック対策に資するICT

副題:介護現場感染症対策支援のためのネットワーク化とAIプラットフォーム
R3

R4
◎富士通株式会社
研究提案の理念は明確であり、それに沿った枠組みの開発には成功している。また、研究計画もコロナ禍の状況に合わせて適宜修正され、目標達成に向けた努力が認められる。
しかし、特徴であるAI部分は、データ不足のため特段の工夫をすることができなかったのは残念である。バイタルデータとメンタルデータが、極めて一般的なものであり、このシステムによる感染リスク検知がどのくらい優れているかの客観的評価が欲しかった。今回開発されたシステムに新たな指標を加えていくことで、より精度の高い検知システムの開発につながることを期待する。
A
国立大学法人横浜国立大学
222A03 ウイルス等感染症対策に資する情報通信技術の研究開発
課題A ウイルス等感染症により発生するパンデミック対策に資するICT

副題:COVID-19肺炎のCT画像をAI解析するためのプラットフォーム開発と実証展開
R3

R4
◎大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所
既に構築したシステムが実用的なレベルで稼働しており、2年間という短い開発期間で十分に投入金額に見合った成果が得られている。従来共同研究を行っていたグループがCOVID-19に特化して研究開発を行ったという背景もあり、コロナ禍の厳しい状況であったにも関わらず、これだけのスピード感を持って、データ収集及びシステム開発を実施したことを高く評価したい。
COVID-19肺炎診断のためのネットワークとデータベース基盤を早急に構築できたことは重要な成果である。このようなデータベースの構築が、人による診断の能力を超えるAI診断につながることは容易に想像でき、将来波及していくことは十分期待できる。現在のところは、ビッグデータによる感染動向のサーベイランスにとどまっているが、将来的にはAI自動判定による即座の診断にもつながることが期待される。
S
学校法人順天堂
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
222B01 ウイルス等感染症対策に資する情報通信技術の研究開発
課題B 新型コロナウイルス感染症対策“新しい生活様式”を実現するためのICT

副題:3密回避を実現するドローンAI協調型海ごみ自動回収運搬ロボットの開発
R3

R4
◎国立高等専門学校機構仙台高等専門学校
海岸漂着の海ごみの自動回収ロボットの開発を目的として、ドローン画像からの海ごみの識別と分布定量化の技術、海ごみ自動運搬ロボット技術の2つの研究開発項目について計画どおりに進められた。知的財産(論文数、特許出願数)に関する成果は不十分ながらも、研究開発目標はすべて達成しており、内容としては十分な研究開発成果が得られている。本研究開発の成果は海ごみ回収作業における3密回避に対策として期待でき、また、SDGsにも掲げられた地球環境改善に資する取り組みであることから、社会的なインパクトを評価できる。他の地域での成果展開やロボット関連の事業化も具体的に検討されており、早期の実用化が期待できる。総合的には高く評価できる内容であり、今後の取り組みに期待したい。
S
株式会社石井製作所
222B02 ウイルス等感染症対策に資する情報通信技術の研究開発
課題B 新型コロナウイルス感染症対策“新しい生活様式”を実現するためのICT

副題:「超」ハイブリッド路線バスセンシングによる公共交通機関のスマート化基盤に関する研究開発
R3

R4
◎学校法人慶應義塾
路線バスの車内外ハイブリッドセンシング技術と車内外データ分析・配信基盤技術に関する研究開発はほぼ計画どおりに進められた。バス車内のCO2濃度のセンシング等の密閉センシング技術については様々な条件における実験データが得られている。また、車内外データ分析・配信のためのシステム構築が行われている。全体として、投入した研究経費に見合った成果が得られている。一方で、最終目標に関する定量的な評価が不足しており、達成度の観点からはやや弱い。研究開発成果の社会実装に関して、具体的にはこれから検討を進めるとしている。今後もシステムのブラッシュアップやさらなる有効性の検証が必要となると思われることから、継続的な取り組みを期待したい。
A
グリーンブルー株式会社
総合評価の評価点 S:非常に優れている A:適切である B:やや劣っている C:劣っている