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設立経緯

 耐災害ICT研究センターは、平成23年の東日本大震災において発生した通信ネットワーク障害を教訓として、災害に強いICTの研究開発を産学官連携体制の下で、被災地に研究拠点を設置して研究開発を実施することを目的に、平成24年に仙台市に設置されました。

  • 東日本大震災の教訓を踏まえ、耐災害ICTに関する研究開発を開始
    総務省による「情報通信ネットワークの耐災害性強化の研究開発」を開始
  • 平成24年4月 耐災害ICT研究センター設立
    東北大学内に研究拠点を整備。被災地域において産学官連携の研究拠点を形成し、研究推進のためのテストベッド環境を構築。災害に強い情報通信の実現に向け、基礎基盤、実証研究、社会実装の推進を開始。
  • 令和3年4月 レジリエントICT研究センターに名称変更
    第5期中長期計画の開始に伴い、レジリエントICT研究センターへ名称を変更し、レジリエントICT基盤技術の研究開発」及び「国土強靭化に向けた取り組みの推進」を開始。

沿革

平成23年(2011年)3月11日
  東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生
平成24年(2012年)1月 
  東北大学全学と協力協定を締結
平成24年(2012年)4月
  NICT耐災害ICT研究センター設立
平成24年(2012年)5月 
  耐災害ICT研究協議会発足
平成26年(2014年)3月
  耐災害ICT研究センター開所式及び本格稼働
平成26年(2014年)9月
  SIP「レジリエントな防災・減災機能の強化」課題(5),(6:研究責任者)を受託し研究開始
平成27年(2015年)3月
  国連防災世界会議にてシンポジウム開催及び展示実施
平成27年(2015年)8月
  耐災害ICT研究協議会活動が産学官連携功労者表彰総務大臣賞を受賞
平成28年(2016年)4月
  熊本地震被災地に対する支援活動実施(研究成果の実活用)
平成29年(2017年)4月
  東北ICT連携拠点の機能を追加
平成29年(2017年)10月
  立川地区での中央省庁災害対策本部設置準備訓練に参加
平成30年(2018年)10月
  SIP第2期「国家レジリエンス(減災・防災)の強化」2プロジェクト受託
令和元年(2019年)5月
  東北大学とタフサイバーフィジカル研究に関する覚書を締結
令和2年(2020年)4月
  防災チャットボットSOCDA自治体で導入
令和3年(2021年)4月
  レジリエントICT研究センターへ名称変更
令和4年(2022年)12月
  NerveNetを和歌山県白浜町が導入
令和5年(2023年)3月
  ダイハードネットワークに基づく防災情報通信・管理システムを高知県香南市が導入
令和6年(2024年)3
  NerveNetを宮崎県延岡市、ネパール自治体が導入

研究センター長挨拶

  ICTによって、世界をレジリエントに
研究センター長 井上 真杉
国立研究開発法人
情報通信研究機構
ネットワーク研究所
レジリエントICT研究センター長
 井上 真杉
  平成23(2011)年3月11日の東日本大震災から10年が経過しました。その間、地震、台風、洪水、火山噴火、大雪、突風等の大規模自然災害が国内外で幾度となく発生し、そのたびに災害に強い情報通信ネットワークの必要性が認識されてきました。それに対し、携帯電話システムを例にとれば、一部基地局の電源長時間化等の各種対策が施されて着実に耐災害性が向上してきています。引き続き、各情報通信ネットワークの耐災害性向上やそれらを重層的に構成すること等による災害時の通信確保が求められています。そして近年は、強化されるべき対象が情報通信ネットワーク、エネルギー、道路・港湾等の輸送施設といった個別の社会インフラだけではなく、それらで構成される社会システム全体に広がってきています。そして備えるべき対象も、新型コロナ感染症パンデミックや災害を含む突発的な事象全体へと広がりつつあります。

 キーワードは「レジリエンス」です。困難な状況から回復する能力、対応力、適応力、弾性力などと説明される言葉です。Beyond 5G 6Gと称される次世代モバイル通信規格、そして私たちの暮らしが便利、快適になるスマートシティでも、もたらされるべき効用のひとつにレジリエンスが挙げられています。国連SDGsでも「11:住み続けられるまちづくりを」として、都市と人間の居住地のレジリエンスが目標の1つとされています。

 当センターの前身である耐災害ICT研究センターは東日本大震災後の平成242012)年4月に東北大学や関係各位の協力を得て設立されました。構築したテストベッドを有する産学官連携研究の拠点として、大震災の経験をフィードバックしながら、情報通信の耐災害性を強化する研究開発と社会導入に向けた活動を行なって参りました。研究開発したネットワーク系の技術は被災地の宮城県女川町、南海トラフ地震に備える和歌山県白浜町、首都圏直下地震に備える中央省庁災害対策本部(東京都立川市内)で活用され、熊本地震後の高森町において臨時通信回線の提供に役立てられました。情報系の技術は実際の災害や自治体の防災訓練で活用されてきました。産学官連携活動を通じて「災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドライン」を策定して公開するなど、耐災害ICT全般の普及と社会展開にも取り組んで参りました。

  令和32021)年41日からは、第5期の国立研究開発法人情報通信研究機構中長期目標及び中長期計画(令和3年度〜7年度)の開始に伴い「レジリエントICT研究センター」に名称を変更し、体制も拡充して、これまでの研究成果や関係機関との連携体制及び連携成果を礎に、世界をレジリエントにするICTの研究開発並びに国土強靭化に向けた取り組みの推進を開始しました。研究開発では、光ネットワークの障害予兆検知及び機能復旧技術、ネットワークが動的に変化するタフフィジカル空間における情報通信基盤構築技術、自然環境の急変を検知する自然環境計測技術を中心に取り組みます。また、これらの技術に加えてこれまでに研究開発してきた技術の社会実装に向けて、機構内、及び関係機関との連携をさらに充実させながら、ニーズの把握、知見の蓄積と共有、共同の研究や実証実験、標準モデルやガイドライン作成等の多様な取り組みを通じて国土強靭化に貢献していきます。

 引き続き、関係各位のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます

令和3(2021)年4月1日

組織体制

 レジリエントICT研究センターは、サステナブルICTシステム研究室及びロバスト光ネットワーク基盤研究室の2つの研究室と企画連携推進室から構成されております。また、東北ICT連携拠点の役割も付与され、東北地域での地域連携・産学連携活動を推進しています。

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レジリエントICT研究センター組織図