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レジリエントICT研究センターは、2023年11月15日~16日に開催された近畿総合通信局と和歌山県美浜町との協同防災訓練において、公衆網が途絶えた想定で、各地に設置したNerveNetを用いて災害時の自治体間情報共有を実施しました。訓練には美浜町と周辺の御坊市、日高川町、日高町、NerveNet導入済みの白浜町および隣接するすさみ町、さらに和歌山県庁も参加し、県庁と県内6市町の間で情報共有が可能となることを実感してもらいました。

 美浜町は紀伊半島の西海沿いに位置しています。「美浜町役場」「御坊市役所」「日高川町役場」「日高町役場」の屋上にNerveNet 基地局を設置し、通信回線にはWi-FiとStarLinkを用いてネットワークを構成しました(図1左)。「和歌山県庁」「すさみ町役場」にも基地局を持ち込み携帯電話回線でインターネットに接続しました。「白浜町役場」の既設基地局及びクラウド上の仮想基地局の合計8基地局で全体ネットワークを構成し、各基地局の分散型情報共有機能に基づいた「自治体情報共有システム」を提供しました。

 

図1 今回の協同防災訓練におけるNerveNet構成図
図1 今回の協同防災訓練におけるNerveNet構成図

訓練では、災害対策本部から各市町への呼びかけ、各避難所の状況報告、避難者の受け入れ要請や主要道路状況の報告等をNerveNetによる「自治体情報共有システム」を用いて文字や画像で共有できることを実演しました。情報共有の模様を図2に示します。


図2 自治体情報共有システムによる情報共有
図2 自治体情報共有システムによる情報共有
成果のポイントは次の通りです。
  1.   公衆網が途絶えた想定で県庁と県内6市町が文字と画像で情報共有できたこと。公衆網が途絶えた想定で県庁と県内6市町が文字と画像で情報共有できたこと。
  2.  同じ物理構成のまま「和歌山県庁—美浜町」に閉じた論理ドメイン(仮想化やスライシングに相当)も構成し、非常時と平時ともに自治体からのニーズが高い「庁内LAN拡張」が可能なことを示し、その活用イメージを持てたこと。
 今回の実演をきっかけに、庁内LANのなかでも重要なLGWAN接続に本技術を活用したいという声が参加自治体からあがりました。その後に関係組織への確認を行い、本技術が適用可能であることが確認されています。