高度通信・放送研究開発委託研究に係る令和7年度新規委託研究の公募(課題242、243、244)の結果

2025年11月12日

国立研究開発法人情報通信研究機構

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICTエヌアイシーティー、理事長: 徳田 英幸)は、高度通信・放送研究開発委託研究として令和7年度から新たに研究開発を開始する課題242、243、244について、学識経験者で構成される評価委員会での評価等を踏まえ、下記のとおり採択しました。

1. 採択された提案課題と提案者

結合モードを用いた空間多重伝送のための多重数フレキシブルなソフトウェアによる並列信号処理技術の研究開発(課題番号242)
提案課題:
汎用計算プラットフォームを活用した空間モード数に柔軟な空間多重光伝送のための並列信号処理技術の研究開発
提案者:
日本電気株式会社(代表提案者)、NTT株式会社
概要:
海底光ケーブルなど将来的に大容量化が強く求められる光ファイバ通信において、GPGPUなどのソフトウェアによって空間モードをフレキシブルに処理することが可能な基盤技術を確立する。具体的には、光ファイバケーブル敷設や量産性に適した標準クラッド外径125μmの結合型マルチコア伝送システムにおいて、汎用/AIサーバを活用した柔軟な送受信信号処理技術、およびコア数に応じて増加する計算処理に対応するための空間/周波数冗長を利用した超並列信号処理技術を確立する。また将来の社会実装を見据え、本技術の海底光ケーブル事業者や国際学会などを通じて本技術に対する課題などを把握することで、早期の社会実装を目指す。

超広帯域光信号計測・実装技術の研究開発(課題番号243)
提案課題:
200GHz級超広帯域光電変換デバイスと高精度計測・実装基盤の研究開発
提案者:
学校法人早稲田大学(代表提案者)、住友大阪セメント株式会社、デクセリアルズ株式会社、株式会社ワカ製作所
概要:
光ファイバ通信のさらなる高速化やミリ波・テラヘルツ波帯のファイバ無線技術の実現に向け、200GHz級の超広帯域光電変換デバイス(光変調器・光検出器)の実装および特性評価技術を開発する。チップレベルの動作実証にとどまらず、耐雑音性、温度安定性の向上を図りつつ、新たな同軸ケーブル規格に適合したモジュール化技術を構築し、産業応用を視野に入れた実用的な実装方式を確立する。また、これらの開発を加速し社会実装につなげるためには、広帯域計測技術が不可欠である。本研究では、NICT発の高精度変調および光検出技術を基盤とし、DCから200GHzまでをカバーする光電融合デバイスの評価技術を開発することで、次世代の超高速通信システムを支える計測・実装基盤を確立することを目指す。

空孔構造光ファイバエコシステムに向けた光ファイバと接続技術の研究開発(課題番号244)
提案課題:
高入力光伝送用空孔構造光ファイバ技術の研究開発
提案者:
NTT株式会社(代表提案者)、株式会社白山、国立大学法人北海道大学、公立大学法人公立千歳科学技術大学、住友電気工業株式会社、ライテラジャパン株式会社
概要:
高入力光ファイバ伝送路実現のため、断面内に空気層を持つ光ファイバ構造の活用に向け3つの課題を検討する。1点目は、光コネクタ技術であり、空孔構造光ファイバの接続端面の脆弱性を解決する弱接触コネクタ機構を確立する。2点目は、既存光ファイバ(SMF)との結合技術であり、空孔コアファイバの伝送損失と、SMFとのモードフィールド径(MFD)整合を両立する構造条件を明確化する。3点目は、空孔型光ファイバの設計・製造技術であり、空孔コア構造と空孔クラッド構造の2種類の設計・製造の基盤技術を確立し、既存SMFに対して空孔コア構造で+10 dB超、空孔クラッド構造で単位断面積当たり+3 dB超の高入力性を実現する。

2. 公募等の概要

上記の課題242、243、244については、2025年8月7日から同年9月25日まで公募を行いました。公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。

問い合わせ先

イノベーション推進部門 委託研究推進室

公募担当
Tel: 042-327-6011