「Beyond 5G研究開発促進事業(電波有効利用型)」に係る令和4年度新規委託研究の公募(第1回)の結果

2023年1月13日


国立研究開発法人情報通信研究機構

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、Beyond 5G研究開発促進事業(電波有効利用型)のうち、令和4年度新規委託研究の公募(第1回)における「Beyond 5G機能実現型プログラムのうち一般課題」、「Beyond 5G国際共同研究型プログラム」及び「Beyond 5Gシーズ創出型プログラム」について、下記のとおり採択しました。
 

1. 提案研究開発課題及び提案者

(1)Beyond 5G機能実現型プログラムのうち一般課題

① Beyond 5G網におけるホログラフィ通信のための高効率圧縮伝送技術の研究開発
提案者:株式会社KDDI総合研究所(代表提案者)、国立大学法人北海道大学、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学、学校法人関西大学、公立大学法人公立諏訪東京理科大学、株式会社クレッセント
概要表示
概要:有限希少な電波の有効利用及びBeyond 5Gを特徴づける視聴体験創出の両立に寄与するため、ホログラフィの高効率圧縮伝送技術の研究開発を行い、ホログラフィを含むマルチモーダル情報を高効率で伝送するための圧縮伝送技術を確立する。これにより、周波数利用効率を既存の圧縮伝送技術に比べて8倍以上とさせ、ホログラフィを活用した革新的なコミュニケーション体験を、Beyond 5Gにおいて多くのユーザが利用可能なビットレートとして想定している1.5Gbps以下で実現することを可能とする。

② テラヘルツ波を利用した雲・水蒸気分布観測二周波レーダーシステムの研究開発
提案者:キーコム株式会社(代表提案者)、学校法人早稲田大学、国立研究開発法人防災科学技術研究所
概要表示
概要:世界初の150GHz帯を含む2周波数を使用し、➀従来の発生後の降水の状態ではなく、降水発生前の雲・水蒸気の状態を観測する気象レーダーを開発し、②2周波数からの反射の差分を取る手法によって観測精度を高めるとともに、③AIを用いて降水前の雲・水蒸気の情報を迅速に処理し、従来よりもタイムリーかつ避難等に役立つ短時間予報ができる技術開発を行い、日本発の新たな気象観測・予報技術として世界に発信する。あわせて、④Beyond 5Gを活用してよりタイムリーな観測・予報情報を高速・大容量・低遅延で発信するための実証実験を行い、Beyond 5G時代に即した質の高い気象レーダーネットワーク構築に向けた課題の抽出・提言を行う。

③ 通信・電力を無線化し連携協調動作するワイヤフリーロボットの研究開発
提案者:株式会社国際電気通信基礎技術研究所(代表提案者)、国立大学法人室蘭工業大学、国立大学法人千葉大学、学校法人五島育英会 東京都市大学
概要表示
概要:無線技術が広く使われるようになった現在でも、メカトロ機器内部は配線が多い。そのため、軽量化が困難で、配線工数もかかり、断線リスクを抱えたままである。また、配線は、分解・組立を困難にしている。そこで、無線技術を制御・電力伝送の両方に用い、さらに周辺技術を動員して、ワイヤフリーロボットを実現する。具体的には、0.1ms以下の遅延で動作予測から基地局を切り替えるミリ波通信、負荷変動に出力が影響されないマルチホップワイヤレス給電、電力ピークを低減するモータ協調制御、関節部分が容易に脱着できるドッキング機構、複数ロボットが連携して一つの作業を行う協調動作ロボットを実現する技術を構築する。

(2)Beyond 5G国際共同研究型プログラム

採択なし

(3)Beyond 5Gシーズ創出型プログラム

① 大電力伝送光ファイバ無線による高効率無線通信システムの構築
提案者:学校法人慶應義塾(代表提案者)、国立大学法人電気通信大学
概要表示
概要:空孔コアファイバを伝送媒体とする大電力伝送光ファイバ無線技術を確立し、RU-アンテナ群を無給電で経済的に接続する高効率無線通信システムを実現することを目的とする。空孔コアファイバの、従来光ファイバに対して1/1000の低非線形性、1000倍の光損傷しきい値特性を活用し、(A)WDMによる遠隔多チャネルアンテナ、(B)アンテナ部の無給電化を実現する。さらに、高機能光無線融合システムでは、ダイナミックなセル制御と多数の簡易アンテナにより、無線資源の大幅な節約に寄与する。本研究では、新規の遠隔多チャネルアンテナ用光送受信装置を提供し、テストベッド環境での大電力伝送光ファイバ無線の実証を行う。

② Beyond 5G基地局アレーアンテナ向けオールデジタルトランスミッタ回路技術の研究開発
提案者:富士通株式会社(代表提案者)
概要表示
概要:Beyond 5Gにおいて5Gの10倍以上のアクセス通信速度を実現するためには、周波数利用効率を大幅に向上させる必要がある。無線基地局に適用するアレーアンテナは周波数利用効率を向上させる有効な手段であるが、Beyond 5Gで必要とされる大規模アレーアンテナ(例えばTRX数が256以上)では、トランスミッタ回路の消費電力が増大してしまう課題がある。本研究開発では、アレーアンテナに適用するトランスミッタ回路をデジタル化することで消費電力を削減し、周波数利用効率とともに無線基地局の電力効率を向上させる要素技術を開発し、その有効性について検証する。

③ 屋内環境における情報・電力伝送統合自営B5G/6Gの研究開発
提案者:国立大学法人電気通信大学(代表提案者)、株式会社山本金属製作所、国立大学法人東京大学、国立大学法人広島大学
概要表示
概要:情報のみでなく電力伝送をも無線化し、時間・周波数・空間・電力などの多次元的な無線資源を統合的に利用用途に応じてダイナミックに割り当てることで周波数を有効に利用するための研究開発が、IoT基盤を活用したスマート社会実現のためには必要不可欠である。本研究課題では、通信状況の過酷な屋内環境における周波数有効利用及び情報・電力伝送での周波数共用を目指し、機器や端末の物理的制御と多次元的無線資源割当を統合的に行うことで、情報・電力伝送を統合した屋内自営B5G/6Gをターゲットにした技術シーズを創出する。適用例として、次世代スマートファクトリのデモを設計・構築し、実環境を用いた実証実験によりその将来性を明らかにする。

④ マイクロアクチュエータを用いたテラヘルツ帯コヒーレントトランシーバの開拓
提案者:国立大学法人東京工業大学(代表提案者)、国立大学法人広島大学、学校法人東京理科大学、独立行政法人国立高等専門学校機構 徳山工業高等専門学校、マクセル株式会社
概要表示
概要:Society 5.0やカーボンニュートラルの実現に向け、大容量伝送が可能なテラヘルツ帯トランシーバのさらなる低電力化を目指したコヒーレントトランシーバを開発し、1)飛行機、自動車などの移動体と時空間同期し100Gb/s級大容量通信を実現、2)近距離では、受信機の消費電力を大きく削減、超低消費電力化を図る。これにより、テラヘルツ帯の高い位相雑音を抑え、高次変調信号伝送を実現しつつドップラー成分による影響の回避を目指す。さらに、マイクロアクチュエータを用いたチューニング技術を開拓、誤差による性能劣化の補償及び最大通信性能を達成し、モジュールの高効率化を図る。

2. 公募等の概要

本課題については、令和4年9月8日(木)から同年10月7日(金)まで公募を行いました。
NICTは、学識経験者で構成される評価委員会の評価等を踏まえ、採択しました。
公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。

本件に関する問い合わせ先

イノベーション推進部門 委託研究推進室

中後 明、近藤 健、遠田 麻衣子

Tel: 042-327-6011