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photo of GNSS antennas
小金井の屋上に設置されている時刻比較に使用するGNSSアンテナ

カーナビなどで使用されているGPSに代表される測位衛星(GNSS)は、衛星本体に 高安定な原子時計が搭載されていることから、協定世界時(UTC)を生成するための 時刻比較手法としても活用されています。

これまでの時刻比較では米国が開発したGPS衛星だけが使われていましたが、近年は ロシアのグロナス衛星、欧州のガリレオ衛星や中国のBeiDouなども受信可能な、 マルチGNSS受信機を用いた時刻比較の研究も行われています。日本国内に限れば、 準天頂衛星(みちびき)も使用することができます。

Illustration of GNSS constellations
複数の測位衛星システムが利用可能となり、時刻比較の精度が向上するとともに 堅牢性も確保することが可能となった。
Illustration of simultaneous reception of satellite signals at different sites.
標準時の分散化では準実時間の時刻比較が必要なことから放送暦を用いた供視法による時刻比較を行なっている。マルチGNSSを利用できると同時に観測可能な衛星数が増えることからより効果的となる。

情報通信研究機構では、UTCに寄与するため国際時刻比較ネットワークにマルチGNSS 受信機のデータを提供するだけではなく、標準電波分散化の運用にもマルチGNSS時刻比較を活用しています。

また、マルチGNSS受信機を用いた時刻比較をより簡単に行えるように、簡易型の マルチGNSS受信機の開発も行なっています。開発中の受信機では搬送波位相を用いた 単独精密測位のような高精度な時刻比較は行えませんが、簡単に時刻同期が行える 装置開発を目指しています。

photo of multi-GNSS receiver
情報通信研究機構が開発中の簡易型時刻比較用マルチGNSS受信機。 廉価なGNSSモジュールを使用することで、高価な測地用受信機を使用しなくてもマルチGNSSによる時刻比較が行える。