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このページでは、標準電波の受信に関する技術的内容を集約しました。さらに詳しい情報は、「よくある質問」をご覧ください。

標準電波のタイムコード

40kHzまたは60kHzで送出される標準電波の搬送波信号は、周波数標準源としてそのままご利用いただけますが、実際の時刻や日付の情報を得るためには、重畳されたタイムコードの復号が必要です。

実際の標準電波受信の録音データ(元データ):

秒の信号は、パルス信号の立ち上がりとし、立ち上がり時の55%値(10%値と100%値の中央)が日本標準時の1秒信号に同期します。立ち上がり後、100%値を継続するパルス幅の長さによって、その秒での情報を符号化しています。

パルス幅の定義は次の通りです。

パルス幅 0.8s ±5ms2進の0
パルス幅 0.5s ±5ms2進の1
パルス幅 0.2s ±5msポジションマーカー (M, P0~P5)

1周期60秒(60ビット)の組み合わせによって送出されます。

2016年6月10日(金)17時15分に送出された信号の例をもとに、各ビットの内容を説明します。

各周期の先頭20秒間は、時刻(時、分)を示します。また、マーカー(M)は、正分(毎分0秒)の立ち上がりに対応しています。

分(0~59)は、7ビットのBCD(Binary-Coded-Decimal)値で表します。各ビットに割り当てられた値は、上位ビットから、40、20、10、(0、)8、4、2、1です。図のように、2進の1に該当するビットの値を足し合わせると求めることができます。同様に、時(0~23)は、6ビットのBCD値で、各ビットの値は、20、10、(0、)8、4、2、1です。

 

各周期の20秒から40秒までの間は、通算日と、これまでの時分の信号が正しく読み取れたかどうかを確認するための信号(パリティ)を示しています。

通算日(1~366)は、毎年1月1日を1とした通算の日を表します。したがって、12月31日はうるう年以外の年は365、うるう年の場合は366と表されます。10ビットのBCD値の割り当てと位置は、図に示す通りです。

PA1・PA2は、時・分それぞれに対応する1ビットの偶数パリティビットです。偶数パリティとは、与えられたビット列に含まれる2進の1の個数が奇数個ならパリティを1、偶数個なら0とする方法です。

  • 図中PA1は、17時に対応する6ビット列(010111)に含まれる2進の1の個数は4個(偶数)なので、0が示されています。
  • 同様に、PA2は、15分に対応する7ビット列(0010101)に含まれる2進の1の個数は3個(奇数)なので、1が示されています。

SU1、SU2(後述)は、将来の情報増加に備えた予備ビットです。当面0値を通報します。夏時間情報の通報例は次の通りです。SU1が2進の1の場合、6日以内に夏時間の開始・終了があることを予告します。SU1が2進の1の場合、夏時間の期間中であることを示します。

 
通常時(毎時15分、45分以外)

各周期の末尾20秒間は、西暦年の下2桁、曜日、うるう秒実施の予告を示します(毎時15分、45分を除く)。また、マーカー(P1~P5、P0)信号は毎分0秒に加えて、1の位が9(9、19、… 、59)秒のときに送出されます。したがって、マーカー信号の連続は(P0、M)、タイムコード各周期の境目(毎分59秒および0秒)を示します

SU2は、予備ビットです(前述)。

西暦年の下2桁(00~99)は、8ビットのBCD値です。10ビットのBCD値で割り当ては、図の通りです。

なお、電波時計の設計によって00年を西暦2000年と解釈し、2100年3月1日以降に誤った日付を表示する可能性があります。2000年はうるう年でしたが、2100年はうるう年ではない※ため、このような現象が発生します。これを避けるには、00 年を2100年と見なすなど、処理に関して考慮が必要です。

曜日(0~6)は、3ビットのBCD値です。0~6の値が、日曜~土曜に対応します。

うるう秒の予告情報は、LS1、LS2の2ビットでお知らせします。LS1が1値の場合、1ヶ月以内にうるう秒の実施があることを表します。LS2は、うるう秒の正負を表します。LS2が1値の場合、正のうるう秒(挿入)、0値の場合、負のうるう秒(削除)が実施されます。うるう秒は、日本時間で実施月の1日9時の直前に実施されます。実施される前月2日9時0分より、実施月の1日8時59分まで、継続して表示されます。

毎分9秒,19秒,29秒,39秒,49秒、59秒に送出されるマーカー(M)信号は、ポジションマーカー(P1~P5およびP0)とも呼ばれます。ただし、ポジションマーカーP0は常に、毎分0秒のマーカー(M)信号の直前に送出されます。そのため、うるう秒が挿入される場合、59秒に0値が補填、60秒にP0が送出されます。うるう秒が削除される場合、58秒にP0が送出されます。

 
呼出符号および停波予告送出時(毎時15分および45分)

毎時15分と45分は、末尾20秒間を用いて呼出符号と停波予告の通報を行います。呼出符号 JJYは、モールス符号で2回以内の繰り返しで送出されます(この間、秒信号の送出はありません)。呼出符号送出後に、停波予告信号を送出します。停波が計画されていない場合、各0値を通報します。

ST1からST6の6ビットは、停波予告ビットです。停波の計画がない場合、各0値を通報します。保守作業等で標準電波の停波が予定されている場合、以下の表に従い停波の予定・期間等を通報します。

ST1 ST2 ST3 意味
0 0 0 停波予定なし
0 0 1 7日以内に停波
0 1 0 3-6日以内に停波
0 1 1 2日以内に停波
1 0 0 24時間以内に停波
1 0 1 12時間以内に停波
1 1 1 2時間以内に停波

ST3 ST4 ST5 意味
0 終日、又は停波予定なし
1 昼間のみの停波を予定
0 0 停波予定なし
0 1 7日以上、又は期間不明
1 0 2-6日以内
1 1 2日未満

 

標準電波の伝播(電波の飛び方)

長波標準電波は、地表面に沿って伝搬する地表波の特性に加え、上空にある電離層に反射してから届く電離層反射波も合わさり、送信 アンテナの見通し外を超えた遠方まで受信することが可能です。地表波と電離層反射波の干渉により、受信信号の電界強度は環状に分布します。

冬季電界強度予想マップ おおたかどや山標準電波送信所[昼間]
冬季電界強度予想マップ
はがね山から送信された60kHz標準電波の強度予想分布です。図の白の領域に比べ、濃い赤の領域は100倍以上強い範囲です はがね山標準電波送信所[昼間]
夜間における60kHz標準電波強度分布。
日中における40kHz標準電波強度分布。
夜間における40kHz標準電波強度分布。
その他、標準電波の電界強度予想値分布(クリックで拡大)

2004年2月の全国各地での実測結果を参考にした理論計算から求めた、冬季の代表的な電界強度予想マップです。 また、昼間のデータは10時~14時の代表的な状態を示し、夜間は22時~02時の代表的なデータを示しています。このデータは各送信所から約100 km地点の実測データから推定して、アンテナから実際に出ている電力を、40 kHzの場合は12.5 kW、60 kHzの場合は25 kWとして計算したものです。送信所から中距離程度のところに電波の弱い部分が存在しますが、この状態が継続したままであるということではありません(時間により変化し、受信できるようになります)。

距離と時刻による長波電界強度予測値のグラフ

以下のグラフは、今月の電界強度予測値について、距離・時刻との関係を表したものです。クリックで拡大します。

おおたかどや山標準電波送信(40kHz)

送信周波数:40kHz 空中線電力:50kW 輻射電力:12.5kW

はがね山標準電波送信所(60kHz)

送信周波数:60kHz 空中線電力:50kW 輻射電力:25kW

都道府県別の電界強度の予測値

受信年月や受信場所ごとに計算した、電界強度予測値データを公表しています。データは1時間ごとの電界強度示しています。実際の受信電界強度とは異なることがありますので、あらかじめご了承願います。

「見る」ボタンを押すとデータが表示されます。受信地点に全県アーカイブファイルを選択すると、LZH形式またはZIP形式のファイルダウンロードとなります。この場合、受信電波の選択は不要です。"File not found"となった場合は、データの用意がありません。他のデータをご利用願います。