世界初、コンサートホール規模の大空間中の浮遊ウイルスを安全かつ高速に不活性化する深紫外LED大空間殺菌システムの開発に成功
ポイント
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高強度深紫外LEDの配光角を精密に制御し、深紫外光を“上層空間のみ”に選択的に照射する技術を開発
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コンサートホール規模の大空間において、浮遊ウイルスの高速殺菌と安全性の両立を実現
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深紫外LEDを用いた空間殺菌の安全性を飛躍的に高め、その利用シーンを大空間に広げる画期的な技術
背景

今回の成果
今後の展望
関連する過去の報道発表
- 2022年10月27日 「世界初、ワット級高出力動作の深紫外LED小型ハンディ照射機の開発に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2022/10/27-1.html - 2022年3月18日 「高出力深紫外LED(265nm帯)によりエアロゾル中の新型コロナウイルスの高速不活性化に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2022/03/18-1.html - 2017年4月4日 「150mW超(発光波長265nm)世界最高出力の深紫外LEDの開発に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2017/04/04-1.html - 2015年4月1日 「世界最高出力(90mW超)の深紫外LEDの開発に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2015/04/01-2.html
補足資料
今回開発した深紫外LED大空間殺菌システム

及び (c) 高強度深紫外LEDチップの拡大写真

(b) 大型ホール後方壁面に設置された深紫外LED照射モジュールの写真


公共大型ホール(熊谷文化創造館さくらめいと 太陽のホール)の写真と配置

(容積:9,200 m3)内の浮遊ウイルス(ヒトコロナウイルス229E)の生存率の推移
用語解説
深紫外LED
おおむね200〜300 nmの波長帯(深紫外領域)の光を発する半導体発光ダイオード(LED: light-emitting diode)のこと。深紫外光を照射することにより、塩素などの薬剤を用いずに、ウイルスや細菌を効果的に殺菌・不活性化することができる。特に、265 nm帯の深紫外光は、その発光波長ピークがDNA/RNAの吸収ピークと重なるため、ウイルスの不活性化に対して最も効果的である。深紫外LEDのウイルス不活性化用途における実用化の際には、人体への安全性を確保するために、皮膚や目への直接の照射を避ける運用が必要である。
なお、今回開発した深紫外LED大空間殺菌システムでは、高強度深紫外LEDの配光角を精密に制御する技術を開発しており、コンサートホール規模の長い伝搬距離においても、下層の観客席には深紫外光は当たらず、大空間の“上層空間のみ”に、十分な強度の深紫外光が選択的に照射されることで、従来困難であった安全かつ高速な大空間殺菌が可能となる。
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配光角 放射される光の広がり方を数値で示したもの。数値が小さいほど狭角、大きいほど広角に広がることを表す。 元の記事へ
水銀ランプ 水銀ガスを閉じ込めたガラス管内でアーク放電を起こし発光させる光源。254 nmや365 nmなどの輝線を発し、深紫外領域における最も代表的な光源で、様々な産業、用途において用いられている。しかし、2017年に「水銀に関する水俣条約」が発効され、人体・環境に有害な水銀の削減・廃絶に向けた国際的な取組が加速している。一方で、深紫外LEDは水銀を含まず、低環境負荷であり、本成果は、水銀廃絶による環境汚染防止や持続可能な社会の実現にも大きく寄与するものである。 元の記事へ
ヒトコロナウイルス 229E ヒトに日常的に感染するコロナウイルスの一種。 元の記事へ
空気中を浮遊するウイルスに対する不活性化性能評価方法 評価方法は、日本電機工業会規格JEM1467(附属書D: 浮遊ウイルスに対する除去性能評価試験)に準拠し、外部検査機関で実施した。 元の記事へ
本件に関する問合せ先
未来ICT研究所
神戸フロンティア研究センター
深紫外光ICT研究室
井上 振一郎
nict.go.jp広報(取材受付)
広報部 報道室
nict.go.jp