国際共同研究グループ
本研究に参加している研究グループは以下のとおりである。
NICT(日本)、フラウンホーファー・ハインリッヒ・ヘルツ研究所(ドイツ)、アストン大学(英国)、アイントホーフェン工科大学(オランダ)、ミラノ工科大学(イタリア)、ラクイラ大学(イタリア)、カンピーナス大学(ブラジル)、シュトゥットガルト大学(ドイツ)、住友電気工業株式会社(日本)、マッコーリー大学(オーストラリア)、モジュラーフォトニクス(オーストラリア)、ノキアベル研究所(米国)
元の記事へ
国際標準に準拠したカットオフシフト光ファイバ
国際電気通信連合 電気通信標準化部門(ITU-T)で策定された国際標準のITU-T G.654光ファイバ(カットオフシフト光ファイバ)。超低損失と大きな有効断面積という特徴を備え、海底ケーブル伝送等の長距離伝送に対応するよう設計されている。2016年以降、この標準の派生仕様が導入され、陸上光ファイバネットワークへの適用が進められている。近年では、陸上光ファイバネットワークに対応する仕様の光ファイバも策定され、都市圏ネットワーク、データセンタ間ネットワークなどへの導入が拡大している。
元の記事へ
テラビット、ギガビット
1テラビットは1兆ビット。1ギガビットは10億ビット。
元の記事へ
マルチバンド波長多重(WDM)技術
波長多重技術は、異なる波長の光信号を1本の光ファイバで伝送する技術である。現在の長距離向けの光ファイバ伝送システムでは、C帯やL帯の波長多重技術が利用されている。T帯、O帯、E帯、S帯、U帯などの波長帯は商用化が進んでいないが、これらの新しい波長帯を含んだ波長多重技術をマルチバンド波長多重技術とも呼ぶ。
元の記事へ
波長帯
光通信用途で利用可能な波長帯は、C帯(Conventional band、波長1,530〜1,565 nm)とL帯(Long wavelength band、波長1,565〜1,625 nm)、そのほかにT帯(Thousand band、波長1,000〜1,260 nm)、O帯(Original band、波長1,260〜1,360 nm)、E帯(Extended band、波長1,360〜1,460 nm)、S帯(Short wavelength band、波長1,460〜1,530 nm)、U帯(Ultralong wavelength band、波長1,625〜1,675 nm)がある。
現在の長距離向けの光ファイバ伝送システムでは、主にC帯が利用されていて、波長数は80程度である。また、L帯も一部で商用に利用されている。それに対し、T帯、O帯、E帯、S帯、U帯などは開拓中の新しい波長帯であり、商用化が進んでいない。
元の記事へ

図2 光通信の波長帯

図3 光ファイバ内の3モードと単一モードの光信号伝送
マルチモード/3モード伝送
従来の長距離伝送用の光ファイバは、一般に単一モード伝送を利用している。図3に示すように、伝送される光の波長と同程度のコア径を有する光ファイバでは、光信号の伝送経路がただ一つとなり、基本モードと呼ばれる一つのモードのみ伝送される(単一モード伝送)。しかし、光の波長がコア径よりも十分に短い場合、新たな光信号の伝送経路となる高次モードが発生し、基本モードと合わせて複数のモードの伝送が可能となる(マルチモード伝送)。ITU-T G.654光ファイバにおいて、単一モードとマルチモード伝送の境界はC帯上の1,530 nmである。このため、1,530 nm未満の波長ではマルチモード伝送が可能であり、1,530 nm以上では単一モード伝送となるが、実際にマルチモード伝送を活用するには閾値よりも大幅に短い波長が必要である。このため、本研究では閾値より200 nm以上短いO帯上(約1,310 nm付近)の波長を用いて、3モード伝送を実現している。
元の記事へ
QPSK/QAM方式
QAM(Quadrature Amplitude Modulation)とは、光の位相と振幅を併用し複数のビットを表現する方式(多値変調)の一種である。例えば、256 QAMは、1シンボルが取り得る位相空間上の点が256個で、1シンボルで8ビットの情報(28=256通り)が伝送でき、同じ時間でOOK(On-Off Keying)の8倍の情報が伝送できる。また、QPSK(Quadrature Phase-Shift Keying)は、1シンボルが取り得る位相空間上の点が4個で、1シンボルで2ビットの情報(22=4通り)が伝送でき、同じ時間でOOKの2倍の情報が伝送できる。また、直交する2つの偏光方向を持つ光信号を多重化することができ、これによりビット数を2倍にすることを偏波多重と呼ぶ。
元の記事へ